解析ジャーナル

薄毛から見る、土砂崩れの要因

熱海の風景

2021/7/3、熱海

長引く2021年の梅雨、もはや梅雨といえないくらい、豪雨の日々が続いていた。

そんな中、7月3日10時半頃、熱海・伊豆山において大規模な土石流が発生。7/8現在で9人の方が亡くなられ、なお22人の行方不明者を捜索中。

今回、このような被害により亡くなられた方に、深く哀悼の意を表します。そして一刻も早い救出を願います。

今回、想像を絶する被害を出した土石流の原因を、私達の専門分野である頭髪になぞらえながら考えてみたいと思います。

保水力。これが鍵。

今回の土石流を引き起こした原因が、豪雨はもちろんですが不用意に置かれた盛り土である、ということは報道などで御存知の方も多いと思います。

ただ、土が盛られていたこと自体は事実ですが、すぐ数十メートル隣に大規模なソーラーパネルが設置されていたことが遠因になっている、という見方が当初から言われていますね。

ソーラーパネルは大規模に山林を切り開き、除草シートを敷き詰めてその上に設置されているそうです。

これがどういう状態かというと、頭頂部がハゲている状態、という風なイメージです。

髪の毛って、シャワーを浴びると水をたっぷり抱え込んで膨潤します。これは毎日のように皆さん経験していると思います。髪の毛を乾かすのって、意外に大変ですよね。

山林も同様で、木々が雨水をたっぷり抱え込んで少しずつ放出するから、下流の河川の水量はわりと一定に保たれているのです。

例を挙げると、ブナの木1本で年間8トンの水を抱え込むことができるそうです。8トンですよ。想像をはるかに超えてますよね。

そんな木々が、ごっそりとなくなったらどうでしょう?

頭なら、頭頂部の髪の毛がごっそりなくなったら、シャワーを浴びるとどうなりますか?

まるで、滑り台を滑っていくように水分がそのまま下流に流れていきますよ。その勢い、水流のちからによってさらに木が倒されたり、土砂が流されたり、今回のように盛り土をごっそり流出させることさえできてしまうのです。

もしも木々がそのまま根を張っていたなら、水流を穏やかに保ち、土を捕まえ、頑丈な土台を作って流出を防ぐことができたでしょう。少なくとも、今回のような大規模な土石流の発生を起こす事態は避けられたと思います。

頭皮もそうですが、髪がなくなると保水力が低下し、それがまた薄毛を進行させ、頭皮がより固くなっていく悪循環を生み出してしまいます。

髪はまた、ある種の排泄器官ともいわれるくらい、体内の有害な物質を外に出してくれる役割も担っていますから、毛がなくなるということは健康をも損なうことになるのです。

発電できれば森はいらないのか

懲りずに頭髪に例えるなら、わたしたちは発電のためなら自分の頭頂部の髪の脱毛して、ソーラーパネルをくっつけるようなことをしたいでしょうか?

あまりにも間抜けな姿ですよね。意識高いと大丈夫なのかもしれませんが、山を切り開いてソーラーパネルを並べるのは似たようなものです。

山の機能性というか、自然の成り立ちを全無視して発電できればいい、という傲慢の行き着く先の姿に見え、まさに‘不自然’の極み

自然に優しい電力というなら、原発のほうがはるかに迷惑をかけてないではないか。

まとめ

今回は土砂崩れと薄毛を比較して色々と考えてみました。

何を結論とするかは難しいところですが、髪も木々も、私達が思う以上にさまざまな役割を担っていて、実は周りの環境を守ってくれているんだということ。

これは保水力ももちろん、日光から程よく守ってくれたり、外部刺激、外部衝撃を緩和したり、風や水流から守ってくれたり、見た目を印象づける重要な要素でもあるし、なくなったら様々な支障を引き起こすのも似ています。

髪も山林も、手を加えるなら調和を大事に!
調和してこそ、自然に溶け込んでこそ共存できるというもの。髪も、山も。