| 成分名 | ヒトオリゴペプチドー1 |
| 慣用名・別名 | EGF, 上皮細胞成長因子, 上皮成長因子, ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1 |
| INCI名 | rh-Oligopeptide-1 |
| 分子量 | 約6,400 Da |
| 由来 | 半合成 |
| 推奨配合濃度 | 0.001〜0.01% |
| 適正pH域 | 4.0〜7.0 |
| EU規制 | Annex II禁止 |
| 日本規制 | 医薬品成分 |
| カテゴリ | 成分 |
ヒトオリゴペプチド-1(EGF:Epidermal Growth Factor)は、53個のアミノ酸からなる生体由来の成長因子ペプチドであり、現在は「ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1」と表示名称が変更されている。1986年にアメリカの生物学者スタンレー・コーエン博士がその発見によりノーベル生理学医学賞を受賞した、科学的背景が極めて強固な成分である。
作用機序は、皮膚表面に存在するEGFレセプター(EGFR)に結合することで細胞内シグナル伝達カスケード(主にMAPKおよびPI3K/Akt経路)を活性化し、表皮ケラチノサイトや線維芽細胞の増殖・分化を促進すること。これによりコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の産生が高まり、シワ・たるみ・乾燥といるエイジングサインの改善が期待される。またターンオーバーの正常化作用も報告されており、加齢や外的ダメージによって乱れた肌代謝サイクルの回復に寄与する。
EGFは元来、人体の唾液・血液・母乳などに微量存在する内因性タンパク質だが、年齢とともに分泌量が顕著に低下することが分かっている。化粧品に配合されるEGFは遺伝子組換え技術で製造された合成生物学的素材であり、分子量が約6,000 Daとペプチドとしては比較的大きいため、角質層を超えた真皮への経皮浸透性には疑問も残る。美容医療ではエレクトロポレーションや培養上清治療などで積極的に活用されており、物理的浸透補助があれば効果は高まるとされる。
規制面ではEU化粧品規制付属書II(Annex II)に禁止成分として収載されており(2011年)、EUでの化粧品配合は不可。日本でも厚生労働省が2015年にhEGFを「専ら医薬品として使用される成分本質リスト」に追加し、化粧品への配合可否について慎重な判断を要する旨が通知されている。安全性については毒性・刺激性の報告は少ないが、細胞増殖促進作用ゆえに長期使用や高濃度使用の安全性に懸念を持つ専門家もいる。成分としての先進性・効果実績は際立つが、規制リスクを十分に理解した上での配合判断が求められる非常に高関心な成分である。