成分が数多く配合されたヘアマスクですが、有効性は？

トリートメントというよりは、まさに"ヘアマスク"的処方の設計といえます。
毛髪表面の処理が得意な成分が中心となっている構成で、
ダイマーエステル、変性シリコンポリマーの数々、シルク、アルギニン誘導体など、どれもツヤっと潤いを表面に密着させるタイプの成分ですね。
感触としては悪くなく、それなりに持続性も期待できる内容ではないかと思います。

ただし、他の製品ではノンシリコンを大々的に謳っていたわりに、この製品では主力としてシリコンをふんだんに配合している点は認識すべきでしょう。

成分を見ていくと、
水添ポリイソブテンはスクワランに似た軽いさらっとした感触。伸びよく、優れた浸透性。
ベヘントリモニウムクロリドは４級カチオン界面活性剤で、しっとりした感触の柔軟剤です。
ステアリン酸グリセリル(SE)のような古いタイプの自己乳化型乳化剤には石けんが乳化に使われている場合が多く、これは刺激の素ともいえます。
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)はラノリン様の抱水力を持ち、優れたツヤ、チキソトロピー性に富む感触がリッチな油剤です。
ホホバ油(ホホバ種子油)はメキシコ北部の乾燥地帯に自生しているカン木の種子から得た液体ロウ。他の植物油脂に比べ酸化しにくく、皮膚になじみさっぱりしている使用感。抗ニキビ、フケ作用も。
ステアルトリモニウムクロリド(４級カチオン界面活性剤)はリンスでおなじみ柔軟剤成分ですが、刺激性がとても強く、強いタンパク変性作用を有するため頭皮につけたり、洗い流さない製品への配合はNG。
ジメチコンは最も代表的なシリコーンオイル。透明、無臭、化学的・熱的安定性、透湿性、撥水性、潤滑性に優れた不揮発オイル。
ジヒドロキシプロピルアルギニンHClはグリセリン構造にアルギニン構造を結合させた保湿成分で、吸着特性によりロングラスティング効果を与える浸透吸着補修成分。
ジラウロイルグルタミン酸リシンNaは通称ペリセア。優れた浸透性でセラミドと同様の保湿機能と、髪にも浸透、補修、弾力向上、潤滑性向上、洗浄剤の刺激緩和、泡立ち安定など様々な改良効果を付与。
加水分解シルクはシルクの効果を損なわずに分子量を加水分解することにより調整することで、毛髪、皮膚に対して保湿、保護、潤滑性を与えるペプチドです。 ローヤルゼリーエキスはコラーゲン、エラスチンの生成を促進するデセン酸や、保湿、ハリ、抗酸化作用を持つ栄養価の高い成分。
ポリクオタニウム-51はリピジュアの１種で生体適合性があり、ヒアルロン酸の２倍の保湿力を持つリン脂質ポリマー。
ボタンエキス、フユボダイジュエキス、ヒキオコシエキスは優れた育毛作用の相乗効果が確認されている。
ユズ果実エキスはユズセラミドを含有し、髪や肌の保湿機能を強化。
加水分解コンキオリンは真珠由来のタンパク質で、うるおい、ツヤ、細胞活性化作用を付与します。
ハトムギ種子エキスは保湿、肌荒れ改善、メラニン生成を抑制、表皮細胞増殖促進作用。
アミノプロピルフェニルトリメチコンは編みの誘導体シリコーンで、ツヤ感とアミノ基による吸着性、持続性が特徴。色持ち効果も。
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンは、粘性やエモリエント性、ツヤ感が増したシリコーン。乾燥を防ぐ効果や感触改善効果を付与します。
(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマーはポリエーテルとアミノ変性シリコーンのブロック共重合体。潤滑性、エモリエントな感触のアミノ誘導体シリコーン。 (アミノエチルアミノプロピルメチコン／ジメチコン)コポリマーはアミノ基を導入したシリコーンで、エモリエントな感触の被膜を形成します。
センチフォリアバラ花エキスはバラの芳香と抗酸化作用、収れん作用を与えます。

総合すると、
滑り改善効果、それと抱水性といった点ではまずまず、平均的なレベルの製品よりは感触がいいといえるでしょう。

ただし、前述のとおりシャンプーや別のトリートメントでは「ノンシリコン」を謳っているのに、なぜこの商品では毛嫌いするシリコーンをたくさん使うのか。

なかなか一筋縄ではいかないタイプの性格の持ち主のようであります。

話が逸れましたが、この製品、単純に思い切り上質な成分を集めたというわけではなく、１ランク、２ランク落ちる成分をうまくまとめあげたタイプの製品です。

ですので、勘の良い人は値段のわりには、、という印象を抱くかもしれません。

確かにヘアマスク然とした内容ですが、コストパフォーマンスでいえば相当に良くない方と判断できます。