成分名
医薬部外品原料規格
INCI名
CAS番号
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化学式
成分ID
濃ベンザルコニウム塩化物液(Benzalkonium Chloride)は、陽イオン界面活性剤(カチオン性界面活性剤)であり、主に殺菌・抗菌作用を目的として用いられます。構造的には、ベンジル基を持つアルキルジメチルアンモニウム塩の混合物であり、炭素数12〜18のアルキル鎖が一般的です。これは疎水性と親水性の両端を持つアンホテリックな性質ではなく、明確にカチオン性に偏った構造であり、細胞膜と結合して膜構造を破壊することにより殺菌します。
濃度に応じて消毒薬、眼科用保存剤、口腔内清拭剤、化粧品防腐剤など多用途で用いられ、0.01~0.1%程度の使用濃度が多くのガイドラインに示されています。特に、皮膚刺激が低くアルコールより穏やかなため、アルコールが使えない場面や製品での代替として評価されています。分子レベルでは、細胞膜のリン脂質と結合し膜タンパクの機能を阻害することで細胞死を誘導します。
化粧品やスキンケアにおいては、濃度規制の範囲内で使用されることで製品の防腐効果を担いますが、その一方でアレルギー性接触皮膚炎や眼刺激性が報告されているため、安全性には十分な考慮が必要です(参考:Safety Assessment of Benzalkonium Chloride as Used in Cosmetics, *Cosmetic Ingredient Review*, 2012)。
類似成分にはセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)やステアルトリメチルアンモニウムクロリド(STAC)などがありますが、これらはより洗浄力や毛髪柔軟性を重視したトリートメント製品向けであり、BKCは防腐・殺菌が主目的です。BKCは特に耐性菌が発生しにくいという点で利点があり、厚労省が定める「医薬部外品」の基準成分としても広く承認されています。
また、環境面では分解性がやや低く水生生物への毒性が報告されており、近年では環境負荷に配慮した使用量削減や代替成分の開発も進んでいます。
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