| 成分名 | フィブロイン |
| INCI名 | Fibroin |
| 分子量 | 350000〜370000 Da |
| 由来 | 動物性 |
| 推奨配合濃度 | 0.5〜3% |
| 適正pH域 | 3.5〜7.0 |
| EU規制 | 規制なし |
| 日本規制 | 化粧品成分基準収載 規制なし |
| カテゴリ | 成分 |
フィブロインは、カイコ(Bombyx mori)が産生する絹糸の主成分となる線維状タンパク質で、繭の構造を支えるコアタンパク質である。絹糸はフィブロインが2本の繊維として走り、それをセリシンが接着・被覆する二層構造を持つ。化粧品に用いられるフィブロインはセリシンを除去・精製したもので、CAS登録番号9007-76-5として知られる。
アミノ酸組成に大きな特徴があり、グリシン(約35%)・アラニン(約27%)・セリン・チロシンの4種で全アミノ酸残基の90%近くを占める。これら側鎖の小さいアミノ酸が密に規則配列することで、β-シート構造が形成され、絹特有の強靭さと光沢が生まれる。このβ-シート構造が皮膚表面でフィルムを形成し、光の乱反射を抑えた艶やかな仕上がりを実現する。シルク独特の光沢感はこの光学的特性によるものである。
保湿性については、多孔質ナノ構造が水分子を物理的に保持することで優れた水分保持能を発揮する。一般的なタンパク質系保湿剤(コラーゲン・エラスチン加水分解物など)が主に皮膚表面での膜形成による保湿に留まるのに対し、フィブロインはその構造的特性から長時間の水分保持が期待できる。ただし分子量35〜37万という巨大さから、未加水分解のままでは皮膚への浸透性は低く、角質層表面での作用が主体となる。
機能性面では、線維芽細胞の増殖促進作用によりコラーゲン・ヒアルロン酸産生を促す抗老化効果が研究により示されており、またメラニン生成抑制によるホワイトニング効果も報告されている。さらに静菌作用により皮膚常在菌のバランスを保つ効果も期待される。医療分野では生体適合性の高さから手術用縫合糸や組織工学用足場材料として長年実績を積んでおり、化粧品成分としての安全性の根拠ともなっている。
近年、特許製法による水溶性高分子フィブロインの開発が注目を集めている。従来、フィブロインはβ-シート構造の安定性ゆえに一般溶媒に溶けにくく、加水分解処理なしに水溶液化することは困難とされてきたが、シルク本来の高次構造を保ったまま水溶化することで機能性を損なわずに製品への配合が可能になった。環境負荷の観点では動物由来(蚕)であることや養蚕業との関わりを考慮する必要があるが、生分解性は高く自然循環する素材である。
2件の商品に配合されています(総合点順・上位50件)