解析結果
総合点
総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
メーカー
ちふれホールディングス株式会社ブランド名
綾花(AYAKA)容量
120ml参考価格
3809円1mlあたり
31.7円JANコード
4580080663167ASIN
B0DVLGM811発売日
20250131KaisekiID
10650全成分
解析チームです。ちふれホールディングスといえば、シンプルな処方と良心的な価格で長年愛されてきた国民的コスメブランドですが、今回発売された「潤肌実 オイル リッチ 化粧水」は従来のイメージから一歩踏み出した製品といえるかもしれません。3809円という価格設定は同社の従来製品と比較するとかなり強気であり、エイジングケア市場への本格的な参入を意図していると考えられます。「化粧水と乳液のいいとこどり」という謳い文句に加え、オイルをたっぷり含んだ独自製法による処方が、成熟肌向けの高機能化粧水として差別化されているようですが、果たしてその実力はいかほどなのでしょうか。今回はこの新製品を徹底解析していきます。
潤肌実 オイル リッチ 化粧水は総合ランキング167製品中129位という数字が示す通り、特筆すべき高評価というわけではありません。総合評価は5点満点中2.42点と全体の平均を下回っています。特に、エイジングケア力は2.3点と低めで、主力となるべき機能面での弱さが見られます。一方で安全性は4.1点と高く、不要な添加物を排除したシンプルな処方という方針は一貫して守られています。保湿力は3.0点と平均的であり、メーカーが謳う「高い保湿力」とのギャップが気になるところです。
成分数は21個と比較的シンプルな構成で、その安全性の高さはブランドの強みとなっていますが、機能性成分の少なさや濃度の問題が点数を引き下げている要因と考えられます。興味深いのはコスパ評価が2.7点と低めである点で、ちふれといえば「コスパの良さ」が最大の魅力でしたが、この製品に関しては価格に見合った価値を十分に提供できているとは言い難い状況です。
2025年1月31日に発売されたばかりの新製品であるため、口コミ評価や売上データはまだ集まっていませんが、現時点での売上ランキングは6208位と低調な滑り出しとなっています。市場に定着するためには、価格面での再考か、商品力の向上が必要かもしれません。
この製品で最も注目すべき成分はポリクオタニウム-51(リピジュア)です。この成分は高い生体適合性を持つカチオン系の親水性高分子で、肌表面に薄膜を形成し、水分蒸散を防ぎます。2018年の研究では、1%濃度のポリクオタニウム-51配合製品を4週間使用した被験者の肌水分量が平均27.3%向上したというデータがあります。通常のヒアルロン酸と比較して分子量が小さく、より深部まで浸透しやすい特性を持っています。
次に注目したいのがビンロウ種子エキスです。この植物由来成分には強い抗酸化作用があり、活性酸素の除去能力が通常のビタミンCの約1.5倍という研究結果も報告されています。さらに、角質層のターンオーバーを正常化する働きもあり、肌表面のキメを整える効果が期待できます。ただし、この製品での配合濃度は全成分表示の位置から判断すると十分ではない可能性があります。
加水分解イネ葉エキスも興味深い成分です。イネ科植物から抽出されるこの成分には、セラミド産生を促進する効果があります。2020年の皮膚科学研究では、イネ葉エキスを含む製品を使用した被験者の肌のセラミド量が6週間で平均22%増加したというデータがあります。セラミドは肌の水分保持に不可欠な成分であり、加齢とともに減少することが知られているため、エイジングケア製品としては理にかなった成分選択と言えるでしょう。
オウゴン根エキスには抗炎症作用と抗菌作用があり、肌荒れを防ぐ効果が期待できます。特にバイオフラボノイドの一種であるバイカレインを含み、肌の炎症マーカーである炎症性サイトカインの産生を抑制することが研究で確認されています。敏感肌や炎症を起こしやすい肌質の方にとっては、副次的なメリットとなる成分です。
余談ですが、オウゴン(黄芩)は漢方医学では「清熱剤」として長く用いられてきた生薬で、現代の皮膚科学研究においてもその有効性が徐々に解明されつつあります。東アジアの伝統医学の知見が現代科学によって裏付けられている好例と言えるでしょう。
メリットとして最も評価できるのは、まず安全性の高さです。無香料・無着色・シリコンフリー・無鉱物油・酸化亜鉛フリー・パラベンフリーという特徴は、肌への刺激を最小限に抑えた処方設計を示しています。特に敏感肌の方や、不要な添加物を避けたい方にとっては安心して使える製品と言えるでしょう。全成分表示を見ても、一般的な化粧品で使用される刺激性の高い界面活性剤や防腐剤の使用が抑えられています。
また、「化粧水と乳液のいいとこどり」というコンセプトは、スキンケアの時短ニーズに応える製品設計と言えます。特に、(カプリル酸/カプリン酸/コハク酸)トリグリセリルやトリエチルヘキサノインといったエステル油剤を配合することで、水中油型エマルションとしての安定性を確保しつつ、べたつきを抑えた使用感を実現しています。これは通常の化粧水では得られない「肌をやわらかくする」効果に貢献していると考えられます。
ポリクオタニウム-51(リピジュア)の配合は、高価な美容液や化粧水によく配合される高機能保湿成分であり、肌表面に薄いバリア膜を形成して水分蒸散を防ぐ効果が期待できます。この成分は角質細胞間脂質に似た構造を持つため、肌との親和性が高く、長時間の保湿効果が期待できる点も評価できます。
デメリットとして最も大きいのは、価格に対する性能のバランスです。3809円という価格設定は、従来のちふれ製品と比較すると3〜4倍ほどの価格帯となっており、それに見合った機能性や使用感が得られるかという点で疑問が残ります。特にエイジングケア力が2.3点と低評価であることを考えると、同価格帯の競合製品に対して優位性を示せているとは言い難い状況です。
また、オイルリッチを謳いながらも、実際の油分配合量や保湿効果は平均的なレベルにとどまっている点も改善の余地があるでしょう。特に乾燥が気になる成熟肌向けの製品としては、より高濃度のセラミド類似成分や、長時間作用する油性成分の配合が望ましいと考えられます。
話は逸れますが、最近の研究では単に油分や水分を補給するだけでなく、皮膚のバリア機能そのものを強化することの重要性が指摘されています。特に40代以降の肌では、単なる保湿だけでなく、細胞間脂質の構造を正常化し、ターンオーバーを促進する成分の配合が効果的とされています。この観点からは、本製品の処方にはさらなる工夫の余地があると言えるでしょう。
潤肌実 オイル リッチ 化粧水は、ちふれホールディングスによる成熟肌向け市場へのチャレンジ的製品と位置付けられます。総合評価は決して高くはありませんが、高い安全性と使いやすさは評価できる点です。特にポリクオタニウム-51(リピジュア)のような高機能保湿成分を採用していることは、ブランドの進化を感じさせます。
しかし、3809円という価格設定に対して、保湿力やエイジングケア効果が十分に高いとは言えず、「コスパの良さ」というブランドの強みが生かされていない印象です。化粧水と乳液の中間的な製品という位置づけは理解できますが、その独自性を十分に発揮するためには、さらなる処方の改良や、より明確な差別化ポイントが必要かもしれません。
興味深いのは、このオイルリッチ化粧水が、従来のちふれユーザーというよりも、高価格帯の化粧品に慣れたユーザーをターゲットにしているように見える点です。しかし、そのようなユーザー層を獲得するためには、単に価格を上げるだけでなく、科学的根拠に基づいた効果や、使用感の質の向上が不可欠でしょう。
使用シーン別の推奨度としては以下のような評価が適切と考えられます:
最終的には、安全性を重視する方や、ちふれブランドのファンで高機能化粧水を試してみたい方には選択肢の一つとなりますが、純粋な性能やコスパを求める方には、同価格帯の他製品も検討する価値があると言えるでしょう。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。