解析ジャーナル

それでも石けんをボディソープやシャンプーとして使うのにおすすめしない理由

石けんは、そのシンプルな成分と自然由来のイメージから、多くの人に愛用されています。しかし、ボディソープやシャンプーとしての使用には、肌や髪に対するデメリットがあることが知られています。今回は、石けんの使用における注意点やデメリットを、より具体的に掘り下げて解説していきます。

自然由来だから、優しそうだからといった理由が安易に使うべきでない理由がたくさんあるのです。

石けんの肌への影響

石けんはアルカリ性であり、肌の自然なpHバランスを崩す可能性があります。健康な肌は弱酸性で、pHは約4.5〜6.0の範囲に保たれています。しかし、石けんの使用により肌のpHがアルカリ性に傾くと、肌のバリア機能が低下し、乾燥や肌荒れを引き起こすことがあります。

pHの変化と肌への影響

石けんによる洗浄後、肌はアルカリ性に傾きますが、健康な肌は30分から2時間程度で元の弱酸性に戻す力を持っています。しかし、肌が敏感であったり、バリア機能が低下している場合、この中和能力が弱まり、肌トラブルを引き起こしやすくなります。頻繁に使った場合、アルカリ中和能で自然に元通りになるには8時間以上かかるという報告もあります。
アルカリの何が問題かというと、肌がバリアであるセラミドを生成するのに弱酸性の環境が必要ですが、アルカリはそれを阻害します。また、アルカリに傾くと、人にとっての悪玉菌が増殖しやすい環境となるため、肌荒れやニオイの問題なども長い目でみると懸念がありますね。

脂質の溶解

石けんのアルカリは肌の必要な油分まで溶かし出してしまいます。アルカリの性質によるものですね。これにより、肌の乾燥を促進し、かゆみや赤みなどの肌トラブルを引き起こす可能性があります。敏感肌になりやすく、「茶のしずく」アレルギー誘発事件のようなアレルゲンを浸透させてしまう原因にもなりかねません。

「茶のしずく」アレルギー誘発事件とは

石けんカスの生成

石けんを使用すると、水と反応して石けんカスが生成されることがあります。この石けんカスは、髪がバサバサになる原因となることがあります。また、石けんカスは環境にも負荷をかけ、水質汚染の一因となることもあります。

石けんの豆知識

  • 合成界面活性剤: 石けんの欠点を補うために開発された合成界面活性剤は、肌への刺激が少なく、石けんカスを生成しにくい特性を持っています。
  • 石けんの環境への影響: 石けんは生分解性が高いとされていますが、石けんカスが生成すると、その難溶性のために環境に負荷をかけることがあります。そもそも石けんは使用量が多い傾向にあるため、環境への放出量も多く、アオコの原因とも言われます。
  • ※アオコは、水中の栄養塩が豊富になることで、特定の藍藻(シアノバクテリア)が大量発生する現象です。

まとめ

石けんは自然な成分から作られ、環境に優しいというメリットがありますが、肌への影響を考慮すると、特に敏感肌や乾燥肌の方は注意が必要です。石けんを選ぶ際は、成分や肌への影響をよく確認し、自分の肌質に合ったものを選ぶことが大切です。そもそも、肌の状態が不安な方はアルカリ性の石鹸を使うのは避けたほうがベターでしょう。今はアミノ酸系洗浄剤をはじめ、より低刺激で環境への負荷も低い成分がたくさんありますからね。石油系界面活性剤といわれるものですら、石けんよりはマシという場合が多いです。

石けんの使用には、その歴史や背景を理解し、肌への影響を考慮した上で、適切に取り入れることが重要です。