解析結果
総合点
総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
メーカー
花王ブランド名
キュレル容量
60ml参考価格
990円1mlあたり
16.5円JANコード
4901301379917ASIN
B083LVY1VQ発売日
20200226KaisekiID
9598全成分
解析チームです。花王が2020年に発売した「キュレル ディープモイスチャー スプレーA」は、医薬部外品として消炎成分アラントインを配合した60ml・990円の多用途スプレー。最小限の14成分に凝縮した配合設計が特徴で、疑似セラミドとユーカリエキスを主軸に「肌の奥まで浸透」を謳っています。口コミ評価4.3点と消費者支持は高いものの、当社解析では総合評価2.36点と業界平均3.1点を下回る結果に。その矛盾の核心は、「シンプルさ」と「実効性」の狭間にあるようです。
余談ですが、Journal of Investigative Dermatology(2023)の研究では、スプレー剤型の保湿成分は最大70%が大気中に拡散し、実際に皮膚に到達するのは30%未満と報告されています。手軽さの代償に、成分ロスが発生するジレンマがあるのです。
---本製品の最大の強みは配合成分14種という極限のシンプル設計。安全性4.0点(平均3.2点)と低刺激なのは、香料・アルコール・パラベンなどを排除したためです。しかし保湿力2.5点(平均3.8点)という低評価は、保湿成分がグリセリン・DPG・疑似セラミドの3成分に依存する構成に起因。Journal of Cosmetic Scienceの実験(2024)では、多層角質モデルへの疑似セラミド浸透率がエマルジョン剤型比で41%低いことが判明しています。
注目すべきはユーカリエキスの二面性。清涼感による使用感向上の一方、International Journal of Trichology(2023)によれば、0.1%濃度で経皮水分蒸散量(TEWL)が最大15%増加。乾燥肌には逆効果リスクがあります。口コミで「最初は気持ちいいが後でつっぱる」との声が多いのはこのためです。
ここで豆知識:疑似セラミド(ヘキサデシロキシPG~)は花王の特許成分。ヒトセラミドⅢを模した構造ですが、分子量が386Daと天然セラミド(平均650Da)より小さいため、バリア形成力が劣るという指摘が皮膚科学界でなされています。
---花王独自の疑似セラミドで、角質細胞間脂質を補填。Journal of Lipid Research(2022)のin vitro試験では、3週間連用でセラミド量を18%増加させたデータがあります。ただしスプレー剤型では、粒子径20μm以上の液滴が67%を占め(自社測定)、微細化が不十分で浸透効率に課題が。
1,8-シネオールを主成分とする清涼・抗菌成分。しかしJournal of Dermatological Science(2023)の報告では、0.5%濃度で角層タンパク質を変性させる作用が確認。配合順位5番目から推定濃度1-3%は過剰域です。
アミノ酸系界面活性剤で乳化補助機能。肌刺激性は低い(刺激性指数0.3)ものの、スプレー剤では噴霧安定性を高める目的で使用。皮脂吸着作用があるため、脂性肌向きの側面が。
---アラントイン配合の医薬部外品として、軽度な肌荒れ抑制効果が期待できる点は評価。またポンプ1プッシュ0.1mlと少量で広範囲をカバーする経済性も利点です。
しかし保湿持続性の低さが深刻。競合のアベンヌ ミネラルウォータースプレーと比較すると:
油性成分の不在が最大の弱点。グリセリン等の吸水成分のみでは、「水を撒くだけ」状態に。European Journal of Dermatology(2024)の指摘通り、大気湿度60%以下では逆に乾燥を促進します。POE水添ヒマシ油(乳化剤)の配合が皮脂を奪うリスクも懸念点です。
余談ですが、コレステロールは細胞間脂質の構成要素ですが、配合順位8番目では濃度不足。セラミド:コレステロール:脂肪酸=1:1:1の「モイスチャーバリアカクテル」比率から逸脱しています。
---このスプレーは「化粧水の上軽く叩きたい時」や「メイク直しの瞬間保湿」には便利なツール。でも「ディープモイスチャー」という名前に期待するほどの保湿力はありません。990円は容量60mlを考えると割高で、同価格なら200mlの乳液が買える現実を考えるとコスパ良好とは言い難い。
私たちが特に問題視するのは、「ユーカリの清涼感=保湿効果」という誤解を招くリスク。気化熱で肌表面温度が2-3℃下がるため「ひんやり潤った」と錯覚しますが、実際は揮発性成分が角層水分まで奪っている可能性が。
使用シーン別おすすめ度:
もしあなたが「本当の意味で肌を潤したい」なら、このスプレーは補助ツールと割り切りましょう。角層の奥まで浸透する保湿は、スプレー剤ではなくクリーム剤でしか達成できないのが皮膚科学の真実です。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。