解析結果
総合点
総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
洗浄剤の品質
洗浄力
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
メーカー
ウエラ(WELLA PROFESSIONALS)ブランド名
INVIGO(インヴィゴ)容量
250ml参考価格
1060円1mlあたり
4.2円ASIN
B07N1PBJ8M発売日
20190529KaisekiID
10837全成分
解析チームです。今回は、美容室向けプロフェッショナル製品で世界的に名高いウエラ(WELLA PROFESSIONALS)さんから、太陽を浴びる季節に特化したかのようなネーミングの「インヴィゴ サン クレンジングシャンプー」について、メス、いや、顕微鏡を入れていきたいと思います。ウエラさんといえば、140年以上の歴史を誇るドイツ発祥のブランドで、ヘアカラー剤やスタイリング剤では業界をリードする存在ですよね。そんな美の巨人が、なぜ今、このような処方のシャンプーを市場に送り出したのか…その背景には、夏のレジャーシーンにおける特定のニーズを深掘りした結果なのか、あるいは、プロの現場だからこそ許容される、ある種の「割り切り」があるのか。はたまた、開発チームが太陽に灼かれすぎたのか…いやいや失礼。この製品が持つ真意と実力を解き明かしていきましょう。刮目せよ!
さて、早速ですが「インヴィゴ サン クレンジングシャンプー」の評価を、当解析ドットコムのデータベースに基づいて見ていきましょう。まず総合ランクですが、全3036製品中…なんと3079位。ええ、見間違いではありません。ランキングの枠外、ある意味でオンリーワンの輝きを放っております。総合点は5点満点中0.28点。これは、100点満点で換算すると約5.6点という、小学校のテストなら先生が呼び出しを検討するレベルの数値です。特に目を疑うのが「配合成分のレベル」で、まさかのマイナス0.7点。成分を配合することで、逆に評価が下がるという、新しい概念を我々に提示してくれています。まさに錬金術…いや、逆錬金術でしょうか。
一方で、特筆すべきはその「洗浄力」。5点満点評価で6.1点と、メーターを振り切る勢いです。これは全シャンプー中トップクラスの数値で、業界平均を遥かに凌駕…というか、異次元の領域に達しています。しかし、喜ぶのはまだ早い。この強すぎる洗浄力の代償として、「洗浄剤の品質」は5点満点中1.1点、「保湿力」に至っては0.1点と、髪や頭皮の潤いを根こそぎ持っていく気満々のスペックです。安全性もマイナス評価となっており、肌への優しさという概念は、このシャンプーの辞書には存在しないのかもしれません。メーカー説明では「紫外線から髪を守り、夏の特に気になる頭皮の皮脂汚れもすっきりと洗い上げます」とありますが、このスタッツを見る限り、「すっきり」のレベルが我々の想像を遥かに超えている可能性が高いですね。ある意味、期待を裏切らない、正直な数値と言えるでしょう。ここまで振り切っていると、逆に何かの間違いではないかと何度もデータを見返してしまいましたよ。
このシャンプーの個性を決定づけているのは、やはりその洗浄成分です。特に以下の成分に注目せざるを得ません。
もはや説明不要かもしれませんが、非常に強力な洗浄力と脱脂力を持つアニオン界面活性剤です。分子量が小さく、皮膚への浸透性が高い(角層深くまで届きやすい)ため、皮膚のバリア機能を構成する細胞間脂質やNMF(天然保湿因子)を流出させやすく、乾燥や刺激を引き起こす可能性が高いとされています。実際に、ラウリル硫酸Naは皮膚刺激性試験の陽性対照(刺激が出る物質の代表)として用いられることもありますし、実験で人工的にダメージヘアを作る際に使用されることもある、いわば「プロ仕様」の荒療治成分。化粧品成分としての安全性に関する議論は長年続いており、CIR(Cosmetic Ingredient Review)の専門家パネルは、洗い流す製品で短時間接触する場合には安全としていますが、その濃度や使用頻度、肌質によっては推奨できないというのが一般的な見解です。「金属表面処理剤」としても使われることがある、という話を聞くと、そのパワフルさが想像できるのではないでしょうか。
ラウリル硫酸Naに酸化エチレンを付加して作られる成分で、一般的にラウリル硫酸Naよりも皮膚への刺激性は低減されていると言われています。これは分子量が大きくなり、皮膚への浸透性が低下するためです。しかし、洗浄力自体はラウリル硫酸Naと同等に強力で、泡立ちも非常に良いのが特徴。安価で優れた起泡性と洗浄力を提供できるため、多くの市販シャンプーに配合されてきましたが、近年ではその強すぎる脱脂力から、よりマイルドな洗浄剤への置き換えが進んでいます。本製品ではラウリル硫酸Naと併用されており、まさに「洗浄力こそ全て」という強い意志を感じます。
主に製品の粘度を調整したり、他の成分を均一に溶かすための可溶化剤として配合されるアニオン界面活性剤です。洗浄力を補助する役割も持ちますが、こちらも高濃度では皮膚刺激の懸念が指摘されることがあります。洗浄剤のパフォーマンスを安定させる縁の下の力持ちですが、主役級の洗浄剤がこれだけ強力だと、その存在も少し気になるところです。
BHA(ベータヒドロキシ酸)の一種で、角質溶解作用や殺菌作用、抗炎症作用が期待される成分です。ニキビケア製品やフケ防止シャンプーなどによく配合されていますね。皮膚のターンオーバーを促し、毛穴の詰まりを改善する効果も期待できます。しかし、その効果の裏返しとして、皮膚への刺激性もやや高め。特に乾燥肌や敏感肌の方が使用する際には注意が必要です。本製品においては、おそらく「夏の頭皮の皮脂汚れもすっきり」というコンセプトに沿って、清涼感や毛穴ケアを意図して配合されたものと考えられますが、強力な洗浄剤とのコンボは、頭皮にとってかなりの試練となる可能性があります。ここで豆知識ですが、サリチル酸はヤナギの樹皮から発見された成分で、アスピリンの原料としても知られています。
こちらは紫外線吸収剤で、主にUVB波を吸収し、熱などのエネルギーに変換することで紫外線ダメージから髪や肌を守る効果があります。メーカーの商品説明にある「紫外線防止効果」の主役はこの成分でしょう。多くの日焼け止め製品に使用されているメジャーな成分ですが、紫外線吸収剤は化学反応によって効果を発揮するため、光安定性が低いものや、人によってはアレルギー反応や刺激の原因となることも指摘されています。特に、吸収量が増えると酸化分解物が生成され、それが肌への刺激となる可能性もゼロではありません。洗い流すシャンプーへの配合で、どの程度の紫外線防御効果が残存するのかは議論の余地がありますが、夏のサンケアを意識した配合であることは間違いありません。
さて、この「インヴィゴ サン クレンジングシャンプー」のメリットとデメリットを、これまでの分析を踏まえて深掘りしていきましょう。まず、身も蓋もない言い方になってしまいますが、明確なメリットを見出すのが非常に困難な製品、というのが正直な感想です。解析ドットコムのスタッツがそれを如実に物語っています。総合点0.28点、配合成分レベルに至ってはマイナス評価。これは、もはや個人の好みや使用感の範疇を超えた、成分構成レベルでの警鐘と言えるでしょう。
最大のデメリットは、言うまでもなくその過剰な洗浄力と、それを実現するための洗浄剤のチョイスです。主成分であるラウリル硫酸Naは、前述の通り、皮膚や毛髪に必要な油分や保湿成分まで根こそぎ奪い去るポテンシャルを秘めています。これが日常的に使用された場合、頭皮の乾燥、フケ、かゆみ、さらにはバリア機能の低下による様々なトラブルを引き起こすリスクが高まります。髪にとっても、キューティクルが剥がれやすくなったり、内部のタンパク質や水分が流出しやすくなることで、パサつき、枝毛、切れ毛といったダメージに繋がることは想像に難くありません。「夏の特に気になる頭皮の皮脂汚れもすっきりと洗い上げます」という謳い文句は、確かにこの洗浄力なら実現できるでしょう。しかし、それは焼け石に水を注ぐどころか、油を注ぐ行為になりかねません。皮脂を取りすぎれば、体はそれを補おうと余計に皮脂を分泌する可能性だってあるのですから。余談ですが、1970年代の研究では、ラウリル硫酸ナトリウムのタンパク質変性作用(タンパク質の構造を壊す作用)が指摘されており、これが皮膚刺激の一因と考えられています (Journal of Investigative Dermatology, 1975)。もちろん、製品中の濃度や他の配合成分との組み合わせで刺激性は変わりますが、主剤であることの重みは無視できません。
紫外線防止成分としてメトキシケイヒ酸エチルヘキシルが配合されていますが、これとてシャンプーという洗い流す製品において、どれほどの効果が毛髪に残存するのかは疑問符がつきます。仮に多少残ったとしても、それ以上に洗浄剤によるダメージの方が大きければ本末転倒。サリチル酸による角質ケア効果も、健康な頭皮環境があってこそ活きるもの。強すぎる洗浄でバリア機能が損なわれた頭皮に使うのは、傷口に塩を塗るような行為になりかねません。メーカーは「肌もさっぱり洗い上げ、ボディーソープとしてもご使用いただけます」とも謳っていますが、この成分構成でボディソープとして使うのは…正直、チャレンジャーとしか言いようがありません。
では、何かしらメリットをひねり出すとすれば?…うーん、本当に難しいですね。あえて言うならば、「何を使っても落ちないような、特殊で強固な汚れやスタイリング剤を、一度だけ、全てをリセットする覚悟で使う」という限定的な状況でしょうか。例えば、撮影用の特殊な油性ワックスを大量に使った後など。しかし、それならば専用のクレンジング剤を使った方が、まだマシな選択かもしれません。あるいは、このシャンプーの「洗浄力6.1点」という数値を信じ、「とにかく徹底的に洗いたい!」という強い信念をお持ちの方にとっては、ある種の満足感を得られる…のかもしれません。しかし、それは美容や健康とは別の次元の話になってしまいます。
さて、ウエラ プロフェッショナルズの「インヴィゴ サン クレンジングシャンプー」、ここまで見てきた通り、はっきり言って現代のヘアケアトレンドからは大きく逸脱した、超ストロングスタイルな一品と言わざるを得ません。まるで、「優しさ?何それ美味しいの?」とでも言いたげな、潔いまでの洗浄力特化型。その姿勢には、一周回って清々しさすら覚えますが手放しでおすすめすることは到底できません。
「ラウリル硫酸Naをメインに据えたシャンプーなんて、博物館に展示されていてもおかしくないレベルだよ!」なんていうのは少し言い過ぎかもしれませんが、少なくとも2024年の今、一般消費者が日常使いする製品としては、あまりにもリスクが大きいと言えるでしょう。メーカーの商品説明にある「紫外線防止効果」や「皮脂汚れすっきり」という言葉も、この強烈な洗浄剤の前では霞んでしまいます。むしろ、洗い流した後の髪や頭皮は、紫外線や乾燥に対してより無防備な状態になっている可能性すら否定できません。
このシャンプーが持つ本質的な価値とは何なのでしょうか?おそらくそれは、「あらゆるものを洗い流す」という一点突破の機能性。しかし、その対象には、髪や頭皮に必要な潤いやバリア機能まで含まれてしまうという諸刃の剣。ひょっとすると、プロの現場で、特殊な施術の後処理など、ごく限られた用途で、その強力な洗浄力が求められる瞬間があるのかもしれません。しかし、それを一般ユーザーが日常的に使うのは、虎の尾を踏むようなもの。もしあなたが、「どんなシャンプーを使っても頭がベタつくんだ!」という悩みをお持ちだとしても、それは洗浄力が足りないのではなく、洗いすぎによる乾燥や、生活習慣、あるいは他の要因が複雑に絡み合っている可能性が高いのです。そんな時にこのシャンプーを選んでしまうと、問題解決どころか、さらなる迷宮へと誘われてしまうかもしれません。
最後に、どんな方になら「まだマシ」かもしれないか、あえて推奨度を示してみましょう。
というわけで、今回の解析はここまで。皆さんの健やかなヘアライフを心から願っております!
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