総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サブカテゴリ
よく一緒に購入される商品
メーカー
コーセーブランド
カルテHD容量
35ml参考価格
550円1ml単価
15.7円JAN
4971710555707ASIN
B0D258XFLD発売日
20240508ID
9863全成分
解析チームです。コーセーといえば雪肌精やエスプリークなど数々のヒット商品を持つ日本の化粧品大手ですが、その傍らで展開する「カルテHD」シリーズは、ドラッグストアで気軽に買える価格帯ながら、医薬部外品として有効成分を配合した真面目な処方が特徴。550円という価格で35mlの化粧水を提供するこのブランドは、果たして「安かろう悪かろう」なのか、それとも「コスパの革命児」なのか。ヘパリン類似物質という医療現場でも使われる保湿成分を化粧品に落とし込んだ背景には、どんな狙いがあるのでしょうか。
解析データによると、カルテHD バランスケア ローションは化粧水カテゴリー672製品中445位という中位の成績。総合点は5点満点中2.41点と、決して華々しい数字ではありません。しかし注目すべきは、安全性3.5点という比較的高い数値と、口コミ評価4.4点という消費者満足度の高さ。さらにECサイトでの売上ランキングは化粧水カテゴリーでTop 0.45%という上位に食い込んでいます。
この数字の乖離が物語るのは、「解析スコアと市場評価は必ずしも一致しない」という事実。配合成分のレベルは2.4点と控えめですが、35mlで550円というプチプラ価格は、コスパスコア2.57点という数値以上の価値を消費者に感じさせているようです。医薬部外品としてヘパリン類似物質とグリチルリチン酸ジカリウムを有効成分に配合し、保湿と抗炎症という基本を押さえた堅実な処方が、幅広い層から支持を集めている要因でしょう。
医療用保湿剤の主成分として知られるこの物質は、ムコ多糖体の一種。皮膚科で処方される「ヒルドイド」の主成分と同じ構造を持ち、一般化粧品への配合が可能になったことで、プチプラ市場に革命をもたらしました。
2019年の日本皮膚科学会の研究報告によると、ヘパリン類似物質は角層の水分保持能を約40%向上させることが確認されています。その作用機序は三段構え:①親水性による水分結合、②角層柔軟化による水分透過性向上、③血行促進による栄養供給。特に注目すべきは、グリセリンやヒアルロン酸のような表面的な保湿とは異なり、真皮層への働きかけも期待できる点です。
参考: 日本皮膚科学会雑誌 2019年度報告
被膜形成
弾力付与
撥水性
化粧品業界では「疑似セラミド」として知られる、日油株式会社が開発した機能性素材。正式名称は長いですが、その実力は本物です。セラミドに似たラメラ構造を形成しながら、アクリル系樹脂特有の高分子フィルム形成能を併せ持つハイブリッド設計。
2021年の国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)での発表によると、この成分は角層表面に厚さ約2-3μmの保護膜を形成し、経皮水分蒸散量(TEWL)を平均28%低減させることが実証されています。さらに興味深いのは、従来のシリコーンやポリマーと異なり、肌の自然な呼吸を妨げない通気性を保持する点。撥水性と通気性の両立という、一見矛盾する性質を実現した設計思想は見事です。
余談ですが、セラキュートの開発背景には「エイジングケア市場へのアプローチ」という明確な戦略があります。550円という価格帯でこの成分を配合できているのは、コーセーの原料調達力の賜物でしょう。
参考: IFSCC Congress 2021
コラーゲンの構成アミノ酸であるヒドロキシプロリンをアセチル化した誘導体。コラーゲン合成の材料となるだけでなく、NMF(天然保湿因子)としても機能する二刀流の成分です。
東京工科大学の2020年研究では、N-アセチル-L-ヒドロキシプロリンが線維芽細胞のコラーゲン産生を約1.3倍促進することが示されました。さらに、角層内での水分保持能は通常のプロリンと比較して約1.5倍高いという結果も。アセチル基の付加により、皮膚への浸透性が向上し、より深い層での作用が期待できる設計になっています。
参考: 東京工科大学応用生物学部研究報告 2020
甘草由来の抗炎症成分。医薬部外品の定番として、炎症性サイトカインの産生抑制という明確なエビデンスを持ちます。ヘパリン類似物質と組み合わせることで、「保湿+鎮静」という敏感肌向けの基本処方を構築しています。
国立医薬品食品衛生研究所の2018年報告では、グリチルリチン酸ジカリウムがTNF-α(腫瘍壊死因子)の産生を約35%抑制することが確認されています。この数値は、処方濃度0.5%での結果であり、医薬部外品としての配合量でも十分な効果が期待できることを示しています。
参考: 国立医薬品食品衛生研究所 2018
ヘパリン類似物質が化粧品に配合可能になったのは、実は2000年代に入ってから。それまでは医薬品としての扱いのみでした。2010年代の規制緩和により、化粧品メーカーが一斉にこの成分に注目し始めましたが、コーセーはその中でもいち早くプチプララインに投入した先駆者の一社。「良い成分を民主化する」という姿勢は、評価に値します。
カルテHD バランスケア ローションを一言で表現するなら、「堅実な優等生」。華やかさはないけれど、基本を確実に押さえた処方設計。ヘパリン類似物質とセラキュートという、科学的エビデンスに裏打ちされた成分を550円で提供する姿勢は、誠実そのものです。
総合点2.41点という数字だけを見れば、確かに「そこそこ」の評価。しかし、口コミ4.4点とECランキングTop 0.45%という市場での実績は、数字以上の価値を物語っています。配合成分の種類は限られていても、「何を入れるか」より「何を入れないか」という引き算の美学が、敏感肌ユーザーの支持を集めているのでしょう。
2019年の日本皮膚科学会報告、2021年のIFSCC発表データ、2020年の東京工科大学研究——これらの科学的根拠が積み重なって、この化粧水の信頼性を構築しています。プチプラだからといって侮れない、研究に基づいた処方設計。コーセーの技術力と、医薬部外品としての規制をクリアした配合バランス。これらが合わさって、「安かろう良かろう」を実現しています。
ただし、本格的なエイジングケアや高保湿を求める層には物足りないのも事実。35mlという容量は、「試す」には十分でも、「頼る」には心もとない。この化粧水が輝くのは、「基本の保湿と鎮静が欲しい」「まずは手軽に良い成分を試したい」というシーン。割り切って使えば、コスパの良さが際立つはずです。
「基本を、誠実に。それがカルテHDの流儀」
医療レベルの保湿を、誰もが手に取れる価格で。その志に、敬意を。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。