総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サブカテゴリ
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メーカー
ユニリーバ・ジャパンブランド
LUX(ラックス)容量
50ml参考価格
1299円1ml単価
26円JAN
4902111727622ASIN
B006YJV8Q6発売日
20120118ID
10801全成分
解析チームです。ユニリーバのLUXシリーズといえば、1920年代に石鹸から始まり、世界100カ国以上で愛されるグローバルブランド。日本では香り重視のイメージが強いですが、実は2012年発売のバイオフュージョンラインから「科学×ラグジュアリー」路線へ本格シフトした経緯があります。今回取り上げる「バイタル リペア オイル」は、砂漠植物ローズ・オブ・ジェリコという復活草エキスを前面に押し出した、まさにその転換期を象徴するアイテム。果たして「香りだけじゃない」を体現できているのか、成分から徹底解析していきます。
解析ドットコムのデータベース620製品の中で399位という位置づけは、率直に言えば中の下。5点満点で2.78点というスコアは、業界平均(約3.2点)を下回る結果です。特に目を引くのが配合成分レベル2.4点とエイジングケア力2.1点の低さ。一方で安全性3.8点は比較的高く、刺激リスクが抑えられた設計であることが伺えます。
2.9/5.0
3.8/5.0
2.8/5.0
特筆すべきは口コミ評価4.3点(345件)と実測データの乖離。ユーザー満足度は高いのに、成分スコアは振るわない。これは「香りや使用感への満足が成分品質を上回っている」典型例といえます。ECサイトランキングではTop 3%(109位)と健闘しており、ドラッグストア価格帯での認知度の高さが見て取れます。
ここで豆知識:ローズ・オブ・ジェリコ(学名:Anastatica hierochuntica)は、乾燥すると球状に丸まり休眠状態に入り、水を得ると24時間以内に復活する「復活草」。NASAの宇宙生物学研究でも取り上げられた極限環境適応植物です。保湿成分としての実力は、残念ながら一般的な植物エキスと大差ありません。
ヘアオイル界の「ステルス爆撃機」。揮発性シリコーンの代表格で、塗布後数分でスーッと蒸発し、重さを残さずツヤだけを置いていく。分子量が約370と小さく、毛髪表面に均一な薄膜を形成しながらも、ドライヤーの熱で大部分が気化します。
参考:カリフォルニア州では2020年にD5の段階的使用制限が開始されています(CARB規制)。
別名オクチノキサート。UVB波長(280-320nm)を吸収し、熱エネルギーに変換して無害化するケミカルフィルター。ヘアケアでのUV対策は珍しく、この製品の最大の差別化ポイントです。
UVB照射
分子が吸収
熱変換
ただし要注意なのが光劣化と酸化刺激。2015年のアメリカ化学会の報告によれば、オクチノキサートは紫外線を浴び続けると分解し、活性酸素種(ROS)を発生させる可能性があることが示されています。つまり、
ハワイ州では2021年からサンゴ礁保護のため販売禁止になった成分でもあり、環境配慮の観点でも議論の余地があります。
「砂漠の黄金」と称されるモロッコ原産の希少オイル。オレイン酸約45%、リノール酸約35%の不飽和脂肪酸バランスが特徴で、ビタミンE含有量はオリーブオイルの約3倍。
2013年のInternational Journal of Trichologyの研究では、アルガンオイル塗布により毛髪の弾力性が平均18.7%向上したと報告されています。ただし、この製品での配合順位は5番目。シリコーンベースの中での微量添加なので、体感できるほどの効果は期待薄です。
ここで豆知識:アルガンの木は約8000万年前から存在する「生きた化石」。1本の木から年間わずか1〜2kgしか採れず、ユネスコ生物圏保護区に指定されています。
シクロペンタシロキサンの相棒。こちらは揮発しないタイプのシリコーンで、ツヤと手触りを長時間キープする役割。分子量が大きいため(約20,000〜50,000)、髪表面にしっかり皮膜を形成します。
| 特性 | シクロペンタシロキサン | ジメチコン |
|---|---|---|
| 揮発性 | あり | なし |
| 分子量 | 約370 | 20,000〜50,000 |
| 主な役割 | 軽さ・スプレッド性 | 持続性・コーティング |
ただし、過度な使用はシリコン蓄積(ビルドアップ)を招き、カラーやパーマの浸透を妨げる原因に。週に1〜2回のクラリファイングシャンプーでリセットが推奨されます。
抗酸化剤として配合されるビタミンE誘導体。天然型トコフェロールよりも安定性が高く、製品の酸化を防ぐ「製品保護剤」としての側面が強い。
頭皮に塗布すれば血行促進効果も期待できますが、この製品はヘアオイルなので頭皮への直接塗布は非推奨。毛髪への抗酸化効果は微量配合では限定的です。2018年のJournal of Cosmetic Dermatologyによれば、トコフェロール誘導体の有効濃度は最低でも0.5%以上とされており、配合順位から見てその基準には達していない可能性が高い。
結論: 成分表での「見栄え」を良くするための微量添加と判断するのが妥当。
細毛の救世主
揮発性シリコーン主体だから、「重さゼロでツヤだけ置いていく」が実現。ペタンコ髪に悩む軟毛さんの強い味方。競合のモロッカンオイルやエヌドットと比較すると、圧倒的に軽い仕上がり。
UV対策という一芸
ヘアオイルでUV吸収剤配合は珍しい。「朝の外出前に塗る日焼け止めヘアオイル」という明確なポジション。通勤・通学の30分〜1時間程度ならバッチリ。
香りは正義
フランス産ローズオイル配合の香りは、口コミ評価4.3点の立役者。「ヘアフレグランスとして使える」レベルの持続性。香水代わりに使えるコスパの良さ。
ドラッグストア価格の安心感
50mlで約1,300円。サロン専売品の1/3の価格で、気兼ねなくバシャバシャ使える。「毎日使える贅沢」がコンセプト。
補修力は二の次
髪補修力2.9点が物語る通り、「コーティングで誤魔化す」タイプ。ブリーチ毛やハイダメージには焼け石に水。ケラチンやCMC類似成分は一切なし。
UV成分の諸刃の剣
長時間紫外線を浴びると、オクチノキサート自体が劣化して「守護者から破壊者へ」変貌。屋外レジャーには不向き。塗り直しも面倒。
シリコンビルドアップの罠
毎日使うとジメチコンが蓄積。「ツヤツヤなのに手触りが悪い」という矛盾に陥る可能性。定期的なクレンジングが必須。
環境配慮の時代遅れ感
D5(シクロペンタシロキサン)規制の流れに逆行。欧州では段階的廃止が進む成分を主軸にする設計は、「2012年発売の古さ」を感じさせます。
話は逸れますが、ヘアオイルの世界市場は2023年時点で約35億ドル、2030年には51億ドルに達すると予測されています(Grand View Research)。その中でシリコーンフリー・ナチュラル志向が年率8.2%で成長中。この製品のようなシリコーン主体の処方は、今後ニッチ化していく可能性が高い。
競合比較の視点で言えば、大島椿やあんず油のような天然オイル100%系と比べると補修力で劣り、ロレアルのエルセーヴやパンテーンのようなサロン寄り製品と比べると成分の複雑さで負ける。一方、「軽さ×UV×香り×価格」の4点セットでは唯一無二。このポジショニングが、399位/620製品ながらTop 3%ランキングの秘訣です。
「日傘を差しながらツヤを盛る、細毛専用のコーティング職人」
LUXバイオフュージョンのバイタル リペア オイルは、補修力や成分の先進性では物足りないものの、軽い仕上がり・UV対策・魅惑の香りという3本柱で明確な強みを持つ製品です。データを冷静に見れば総合2.78点と中の下ですが、ターゲット層(細毛・外勤・香り重視)にとっては4.3点の満足度を叩き出す。この乖離こそが、このオイルの本質。
13年前の処方設計ゆえ、今の目で見れば古臭さは否めません。D5主体のシリコーンベース、補修成分の希薄さ、UV成分の光劣化リスク。しかし「毎朝サッと塗れて、午前中のツヤをキープして、香りで気分を上げる」という日常使いのハードルの低さは、成分点数では測れない価値。
ダメージケアを期待するなら他を選ぶべき。でも、「今日一日をちょっとご機嫌に過ごすための香りとツヤ」が欲しいなら、これで十分。1,300円で買える「朝の小さな贅沢」として、割り切って使えば価値あり。
一言アドバイス: シリコン蓄積が気になったら、月に2回は硫酸系シャンプーでリセット洗髪を。
最後にひとこと
成分マニアには物足りない。でも、「毎朝の身支度を1分で完了させて、鏡の前でニッコリしたい人」には最高の相棒。データより体感を信じたい日もある。それがヘアケアの面白さ。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。