解析ジャーナル

安物買いは価値を下げる

安物買いの銭失い

プライベートブランドはコスト削減要請が強く、そのために現場ではいろいろと原材料や成分を工夫して減らしていく努力をしていったそうです。しかし良い商品を作ってきたメーカーにとっては「品質を落とした製品を作る努力」をするというのはとても難しいことだったというのです。
最初からローコスト製品ばかり作っている会社であれば、なんてことのない判断も、より良い製品ばかり作ってきた会社にとっては「なんとなく自信のもてない製品を送り出す仕事」になってしまって、中途半端にしか力が入らなくなってきたというのです。


資生堂が「業務用」バッサリ捨てる納得のワケ~ 東洋経済新報社


何とも的を射た記事!

解析ドットコムではかれこれ10年以上、化粧品の成分を見続ける仕事をしています。

ですので、余計に↑この記事の内容が腑に落ちてきてしまうんですね。

コストを抑えるための「品質を落とした製品を作る努力」、まさにこれを最も間近で見てきたうちの1人ではないかと勝手に思ってます。

そのくらい、年々シャンプーなどの質の低下はあちらこちらで顕著となっていて、その原因は価格競争という面が非常に大きいとみています。

価格競争に巻き込まれると犠牲になるのは品質

特に、Amazonなどのネット通販の台頭、最近ではメルカリをはじめとした薬機法も何もあったもんじゃない使いかけのコスメまで取引が公然とおこなわれる事実。

良質な化粧品を作る会社もこうした難局に立たされ、つい先日(2018/7)はGAIA NPという本当に質の高い化粧品を製造していた会社も倒産の憂き目に遭ってしまいました。

素晴らしい製品を作っていたのに、あまりに価格を安くしすぎていた印象が強かった会社です。悪い予感は的中し、今ではあの素晴らしいシャンプーを再び使うことができません。大変嘆かわしい事態です。

化学技術は日々進歩し、新しい安全で機能的な成分は次々に開発されています。その流れと逆行するように、安く古い素材で可能な限り安く作ろう、という意図が丸見えのシャンプーが今でも大半を占めているように思えるのです。

何となく自身の持てない製品を送り出す仕事

解析ドットコムとしては、そうした安物買いを防ぐために、安くても高価でも品質の良いものはどれか、より良い選択肢はどれか、という情報をずっと提供しておりますので、今後も1つの参考にしていただければ幸いです。

もちろん、どのメーカー、会社も生き残るために必死にあれこれ手を尽くしているのは間違いないので、安売り自体を一方的に批判はしませんが、使ってくださる方をどれだけ満足な気持ちにさせたいか、という思いは冗談ではなく成分表から滲み出てくるものです。

できることなら、精いっぱいお客様のことを幸せにしよう!という思いがビシビシ伝わってくるシャンプーが世の中に溢れてほしいし、そういう会社こそ永く生き残っていくのが健全な社会だと考えます。

要点まとめ

  • 価格の低下は品質の低下につながりやすい
  • 企業努力での値下げには限界がある。
  • 良い製品を作ろうという企業精神までも折ってしまうコスト削減圧力

私達にできることは、安かろう悪かろうという商品を拒否する姿勢かもしれません。

コストも質も低い商品を買うということは、そのような商品・会社を支持して投票するのと同じです。

未来に残っていく商品・企業は私達の一票の積み重ねの結果である、と考えて商品選びをすると、より良いチョイスに繋がるのでしょう。