解析ジャーナル

経皮毒とか水シャンプーとか、こういう人が広めてるのね。

経皮毒とか

どうしてもシャンプーを悪者にしたがる人たち

昔からシャンプーは経皮毒で危ないとか、子宮に浸透して出産時にシャンプーの匂いがするとか、トンデモ話には事欠かない化粧品業界なわけですが、今日ふと見たフェイスブックで、まさにインフルエンスの震源地を見つけてしまったのでご紹介します。

経皮毒とか

シャンプーやめて湯シャンにすると、抜け毛がぐっと減る。手ぐしでセットが決まる。髪ツヤツヤ、白髪がほとんどなくなった・・・

もう昔からさんざん降って出てきてはフェードアウトしていくお決まりトンデモ話の1つですが、なんと神田昌典氏という、知ってる人は知ってる方がこんなことを大々的に語っておられました。

これだけ見たら、シャンプーをすると抜け毛が増えて、セットは決まらず、ツヤはなくなり、白髪が増えるということになりますよね。本当にそんな力がシャンプーにあるのなら、相当やべーやつです。シャンプーって。

もしそうなら、普段シャンプーを使えないホームレスの方は、もれなく抜け毛がなく、白髪にならず、手ぐしでセットが決まり、髪がツヤツヤなのだろうか。もし水シャンプーがそんな影響力を持つとお思いなら、ホームレスの方々を調査してみるといい。

1つ1つ反証していく

なぜ、お湯シャンや水シャンにすると良いことが起こったように感じるのか。1つ1つ理由を説明しよう。

まず抜け毛。

シャンプーしようがしまいが、人間は常に毛が一定のサイクルで抜けて、また生えてくる。爪と似たようなもの。爪は抜けたりしないが、髪は抜けてまた生える。一説によると、体内の有毒な物質を排出する器官でもあると言われるように、毛髪検査をすれば実に様々な成分が検出される。

つまり、抜け毛というのは、あってはならないものではない。あって普通。そして、人それぞれサイクルの時期によっては増えたり、減ったりする。季節の変わり目でも変わる。強いストレスを受けても、変わる。ただ、シャンプーが変わったごときで実際に抜け毛の数が激しく増減するということは、ほぼない。

水シャンで抜け毛が減ったように感じるのは、恐らく皮脂が取れないせいで抜けるべき毛が固定されているような影響もあるのだろう。ろうそくのロウに毛が残っているようなもので、きちんと洗ったら落ちるし、洗わなければ引っかかったままかもしれない。その程度のこと。

次、手ぐしでセット可能になる?

それ、皮脂がガッツリ残ってて、皮脂スタイリングしてるからじゃないです?

次、髪がツヤツヤ。

それ、皮脂がガッツリ残ってて、皮脂がテカってるからじゃないですか?

次、白髪が消える。

んなことあるわけないでしょうが。髪洗ってない(もしくは公園で水でしか洗ってない)ホームレスの方もふつうに白髪ですよ。これはどう説明されるのでしょうか?

水シャンプーにするとメラニン色素が復活するのか、シャンプーするとメラニン色素が破壊されるのか、どっちかのエビデンスを引っ張ってこないと、この話は冗談にしては大げさすぎ。

投稿のコメントを見てみよう。

一通り反論が終わったところで、先程の神田氏の投稿についたリプライを見ていきましょう。

この話の本当の恐ろしさは、ここから始まります・・。

このコメントよ。

シャンプーの陰謀論、まだこんなに普通に生き残ってるんですね・・。わたし、力不足だな・・。

お決まりの経皮毒、合成洗剤有毒論、こんな話を疑いもせず鵜呑みにする様は、まさに敬虔な信者様。

話を疑え。調べよ。盲目になるでない。

もしシャンプーの成分がおいそれと経皮吸収されるなら、とっくに人間はあらゆる物質を体内に取り込んで病院送り。お釈迦ポン。そんなにかんたんに肌のバリアを通過できるほど無防備にできてませんよ。

石けんではない合成界面活性剤を危険視する人も相変わらず多いですが、石けんも油脂とアルカリを合成して作る合成界面活性剤ですからね。しかもアルカリ性。これでどうして石けんが安全だと思うのか。なぜ合成界面活性剤が危険だと思うのか。まずそこから疑問に思うべき。

個人の自由であるということ

別に、お湯シャン、水シャンがいい、という人はそれでいいと思います。自由に洗えば良いと思います。

しかし、あたかもシャンプーを使うと問題がある、と言うのを黙ってみていられません。大なり小なり影響力がある方なら、特に発言には責任を持つべき。

もし、そこまで言うならシャンプーが被害を与えるという論拠、エビデンスを示さなければいけません。

最後にたとえ話をしよう

まだピンときてない人のために、たとえ話をしよう。

食器、洗いますよね。油汚れがしっかりついた食器を思い浮かべてください。

頭皮は、他のどんな身体部位よりも多く皮脂を分泌しています。Tゾーンよりも多く。つまり、油汚れの多い食器と似たような状態です。

水だけで洗ってみてください。どうなりますか?

油がしっかり残ります。油は水には溶けません。

見ようによっては、食器がツヤツヤで滑りが良いと言えるかもしれません。しかし、そのツヤは食べ残しの油です。古い油が残っている状態です。

油は、ずっと置いておくと酸化します。サラダ油より、皮脂のほうが酸化しやすいです。

酸化するとどうなる?ニオイを発します。皮膚を刺激します。毛穴に炎症を起こします。これは、ニキビの状態に似たものです。

ニキビの治療に大切なことは、皮脂をきれいに落とすことです。そして代謝を促進し、必要なら殺菌をします。

水シャンはこれの逆です。古い油(脂)を残し、酸化させ、代謝を遅延させ、菌を増殖させやすい状態にします。菌にとっての餌が常に豊富にある状態ですからね。つまり、目には見えなくても思ったより汚いのです。そして、肌は長期的にみれば老化を早める(老けて見える状態に近づく)でしょう。

まとめ

例えば中華料理屋さんに言って、水だけで洗った食器を使われていたらどう思いますか?ツヤがあってきれいと思いますか?ふつうは、汚ったねーなぁって思うでしょう。

ゼロベースで考えてくださいね。頭皮は皮脂がとっても多い。皮脂はツヤを生み出し、頭皮を守る肌バリアの素になる。しかし、ずっと皮脂を曝していると酸化してさまざまな悪影響が出る。

だからシャンプーで一旦余分な皮脂、汚れを落として、ほとんど酸化しない油(コンディショナーやオイル入りシャンプー)ですぐに髪を保護する、ということをしています。

シャンプーは頭皮・頭髪のオイル交換。

車でも、オイル交換しないと故障しますし、頭皮の皮脂は車のオイルよりずっと酸化しやすいので、シャンプーをすることでトラブルを回避しているわけです。

シャンプーで経皮吸収させることのほうが難しいですし、シャンプーによって抜け毛が増える、白髪が増えるということも通常の使い方ではあまりに考えられません。もしそんなことが起きるなら、とっくにニュースなり回収命令なりでていますよ。

通常の使い方、作り方ではなかった「WEN クレンジングコンディショナー」のような、コンディショナーで頭を洗うみたいなことをすれば、抜け毛を促進することもできるでしょう(実際に事件になった)。こういうのがレアケースです。

水でもお湯でも良いですが、シャンプーも危ないものではなく、メリットが多いということもうまく活用していけば良いと思います。両極端になるのではなくてね。

少しでも、シャンプーに対する誤解がある方に参考になれば嬉しいです。届け!