これはヒドい。かなり悪影響あるのでは。
トリートメントはもみこむ時代!プロに聞く頭皮ケアの新常識
https://jisin.jp/life/beauty/1741033 女性自身
女性自身に掲載されていたある記事の内容、あまりにひどい。
トリートメントは頭皮に塗り込んでもよいという誤解を広めかねない内容であり、きちんとしたツッコミを入れる必要があると判断しました。
ちなみに、当該記事はスカルプDボーテの提灯記事のようであるが、スカルプDボーテ自体が悪い商品ということではありません。トリートメントとして使う分には悪くない商品です。あくまでも、記事の内容がトンチンカンだと述べたいのです。
ツッコミどころの目次
- 6つの成分を使用しない無添加仕様?
- ノンシリコンだと硬くきしんでしまう?
- コラーゲンでボリュームアップ?
- スカルプDボーテは頭皮へ揉み込む!?
- 3分間頭皮パック??
- トリートメントで顔のフェイスアップ効果?
無添加だと何が良いの?
シリコン・合成着色料・サルフェート・パラベン・フェノキシエタノール・鉱物油フリーだというスカルプDボーテ。
美容室に努めた経験を持つ女性が、その無添加っぷりに”納得の様子”だそうだ。
しかし、上記の6つ素材、どれもほとんど害があったという試しがない素材なんですよね。
シリコンなどは全く刺激も毒もないし、サルフェート(硫酸塩)にしても基本は安全なものばかりですし、使いようによっては便利な素材ですよね。
パラベン、フェノキシエタノールはものすごく微量で超広範囲に細菌、真菌などをブロックしてくれるんですよ。この防腐剤が原因と特定された被害って今までに聞いたことないですよね。
そして鉱物油。例えばミネラルオイル、パラフィン、ワセリンといった石油由来のオイルのことですが、基本石油由来の鉱物油って安全です。皮膚に浸透もしませんし、安定性が高いので赤ちゃんにも使えるくらい何も刺激がありません。
翻ってスカルプDでは何のオイルを使っているかといえば、植物オイルと、植物オイルを元に人工的に合成したエステルオイル、界面活性剤などが使われています。
鉱物油は、天然由来100%ですよね。天然鉱物由来ですから。
エステルオイルは、合成油です。思いっきり人工的なオイルです。
無添加、無添加と謳うなら、人工的な合成オイル無添加、と言ったほうが説得力ありそうですけどね。個人的な見解ではありますが。
さて、このように見ていくと、、
これら6つの成分を使わない無添加仕様って、誰得?と思いませんか?
逆に、何のデメリットがあるから無添加にしてるのか、きちんとした説明を聞きたいところです。
ノンシリコンだときしむ?
記事では美容室に勤めた経験を持つ女性が、「ノンシリコンだと硬くきしんでしまうのでは?」「(スカルプDボーテは)まったくきしみがなくてびっくりしました」と驚嘆している様子が描写されています。
でもそれって、
今までのシャンプーが安物だっただけじゃない?
としか思えません。
今どき、アミノ酸系のシャンプーでも市販でも珍しくないですし、
美容室勤めの身なら髪がきしまない程度のシャンプーなんていくらでも入手できる立場なのではないでしょうか。
シャンプーで髪がきしむかどうかは、シリコンがあるかないかの違いだ、なんて思って美容師をしていたのなら、少し見識が狭小すぎやしませんか。
コラーゲンでボリュームアップ
「頭皮に潤いを与えるコラーゲンに着目」→「潤いのあるふっくらした頭皮を保つ」→「髪のボリュームアップ」?
コラーゲンでしっとり保湿したらボリュームダウンするような気がしますがね。
もちろん、コラーゲンのことだけを言ってるのではないでしょうが、この辺も適当な記事に見えてしまう原因。。
ふわっとしてるのは髪じゃなくて記事のほう。
頭皮に揉み込む!?
さて、この記事で言いたいことの真打ち登場です。
トリートメントといえば、あまり頭皮に直づけしないのが一般的。しかし、この「スカルプD ボーテ」は真逆。頭皮へトリートメントを“もみこむ”ことで、保湿力を高めることができるというのだ。
https://jisin.jp/life/beauty/1741033/
これはヤバいですよ。無添加がどうのなんてどうでも良くなるくらい。
例の美容室勤め経験のある女性も「フェイスアップ効果が期待できるかも」なんて言い出してるし。
もちろん、頭皮に害がない特殊なトリートメントであれば問題ないわけですが、
そうじゃないからダメなんです。
スカルプDボーテ薬用トリートメントパックボリュームの全成分表を見れば一目瞭然。
医薬部外品表記で順番はめちゃくちゃですが、ステアルトリモニウムクロリド、ステアロキシプロピルトリモニウムクロリドという4級カチオン界面活性剤がしっかり2つ配合されています。
拭き取り式の脱毛剤の主剤に使われることでも知られる4級カチオン界面活性剤を、頭皮に塗り込んだら・・・
「フェイスアップ効果が期待できるかも♡」なんて呑気なセリフを言ってられるでしょうかね?
ちなみに関係ないですが、大口病院連続点滴中毒死事件で使われた薬剤も4級カチオン界面活性剤のヂアミトール(ベンザルコニウム塩化物液)でしたね。。 関係ないですがね。。
さ、3分間頭皮パック???
賢明な読者であるあなたは、すでにスカルプDボーテを頭皮に塗り込むことに躊躇し始めているかと思います。
しかし、件の記事はさらに攻めます。
「トリートメントは頭皮につけられるタイプのものなので、しっかりともみこむことで効果を感じられるようになるでしょう。また3分間ほど頭皮にパックすると、より保湿力を実感しやすくなると思います」
https://jisin.jp/life/beauty/1741033/
正気か。
百歩譲って、4級カチオン界面活性剤の配合量が通常より少ないから大丈夫、と言いたいのだとしても、脱毛剤として機能する4級カチオン界面活性剤の量は0.1%で十分なんです。いかに低濃度で皮膚に影響を与えるか、このことからも自明ですよね。
さらに、4級カチオン界面活性剤はもともと逆性石鹸と言われるように、強力な殺菌剤として使われていることや、カチオン=陽イオンを帯びていることで頭皮に吸着残留しやすく、タンパク変性作用はラウリル硫酸Naを超えます。
保湿力を実感する前に、肌荒れと脱毛を体感するのではないかと心配になります。
それでは最後に、件の記事がどのような言葉で結んでいるか確認してみましょう。
「より保湿力を実感しやすくなると思います」
「髪の立ち上がりが良くなって自信が持てるようになりました。」
「フェイスアップ効果も期待できるかもと思いました」
もみこみ式トリートメントは、働く女性にとって心強いサポートとなってくれそうだ――。
念のために言っておくが、少し前に「人気シャンプーで脱毛被害」事件を起こしたWEN(ウエン)もカチオン界面活性剤で頭を洗う、みたいな今回のスカルプDボーテとそっくりな案件でした。
単に被害の可能性がある、というレベルではなく、実際にFDA史上最多の被害報告数にのぼり、約2万1千件の苦情がメーカーに押し寄せた(そして社名を変えるまでに至った)実績がある危険度ナンバーワンといってもいい手法なのです。
あれほどの大被害が知られてもなお、未だにカチオン界面活性剤入りのクリームを頭皮に揉み込んで3分置けなどというのは正気の沙汰ではありません。
禿げろと言っているに等しいような行為です。