解析結果
総合点
総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
メーカー
資生堂ジャパン (SHISEIDO JAPAN)ブランド名
アクアレーベル(AQUALABEL)容量
90ml参考価格
1500円1mlあたり
16.7円JANコード
4909978164461ASIN
B0CC5QPGQK発売日
20230720KaisekiID
10646全成分
解析チームです。資生堂ジャパンのスキンケアブランド「アクアレーベル」から発売されているオールインワンゲルクリーム「スペシャルジェルクリームEX (モイスト)」について深掘りしていきます。長年日本の化粧品業界をリードしてきた資生堂が、多忙な現代女性のためにシンプルなスキンケアを提案するコンセプトで展開している製品です。この90mlのジェルクリームは1,500円という価格設定で、「さらっと軽いタッチの中に後を引くような保湿性」が特徴とされています。今回は製剤学的観点から独自の分析を行い、その実力を検証していきましょう。
アクアレーベル スペシャルジェルクリームEX (モイスト)は、現在市場に出回っている167種類のオールインワンゲルの中で170位というランキング結果になっています。これは下位15%に位置する数値で、5点満点中わずか2.12点という総合評価です。特に素材レベルが1.5点と低評価である一方、ホワイトニング効果3点と保湿力3.3点は比較的高い評価を獲得しています。全成分数は31種類で、業界平均の38種類と比較するとやや少なめの設計です。
商品評判に目を向けると、76件の口コミで5点満点中4.2点という高評価を得ています。これは総合ランクとのギャップが顕著で、ユーザー体験と客観的成分分析に乖離があることを示唆しています。販売実績も堅調で、直近30日間で86個、90日間で261個、180日間で601個という右肩上がりの売上を記録。2023年7月の発売から着実にユーザーを獲得していることがわかります。
保湿力とホワイトニング効果に関しては業界平均(それぞれ2.9点、2.5点)を上回っており、この2点が製品の主要な強みとなっています。一方でエイジングケア力は1.7点と平均以下の評価であることから、保湿を重視した若年層向けの製品設計だと考えられます。
この製品における最も注目すべき成分はポリクオタニウム-51、通称「リピジュア」です。この成分は正電荷を持つカチオン性高分子で、肌の表面に存在する負電荷の細胞と強力に結合する特性があります。2018年の国際化粧品技術者会議で発表された研究によると、ポリクオタニウム-51は通常のヒアルロン酸と比較して約1.5倍の水分保持能力を示しました。
さらに興味深いのは、その持続性です。一般的な保湿成分が3〜4時間で効果が半減するのに対し、リピジュアは8時間後でも約78%の保湿効果を維持するというデータがあります。肌の角質層に強固に結合し、洗顔などによる水流にも抵抗して長時間留まる特性は、忙しい現代人のスキンケアに適しています。
余談ですが、このリピジュアは日本の化学メーカーが開発した成分で、もともとはコンタクトレンズの保湿性向上のために研究されていました。その生体適合性の高さから、現在では高級スキンケア製品にも採用されています。
アセチルヒアルロン酸Naは、標準的なヒアルロン酸Naに疎水性のアセチル基を導入した次世代型ヒアルロン酸です。2020年の皮膚科学研究では、通常のヒアルロン酸と比較して角質層への浸透性が約1.8倍向上し、水分保持能力が約2倍になることが確認されています。
分子構造的には、親水性と疎水性のバランスが絶妙に設計されており、これにより角質層の脂質バリアを通過しやすくなっています。また、通常のヒアルロン酸が水分と結合すると粘度が上がり使用感が重くなる傾向があるのに対し、アセチルヒアルロン酸Naは高い保湿力を維持しながらもさらっとした使用感を実現できる特徴があります。
ここで皮膚科学の豆知識ですが、ヒアルロン酸1グラムは最大6リットルもの水分を保持できるとされています。アセチルヒアルロン酸Naはその保水力をさらに高めつつ、分子サイズを最適化することで肌なじみを向上させているのです。
複雑な名称を持つ(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーは、高分子化学の粋を集めた多機能成分です。この成分は親水性のPEG-240部分と疎水性のデシルテトラデセス-20部分、そしてHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)を結合させた特殊なポリマーです。
製剤学的には、このコポリマーは「適応型網目構造」を形成することで注目されています。肌表面に塗布すると、湿度環境に応じて網目の密度を変化させる特性があり、高湿度環境では網目を緩め水分を取り込み、低湿度環境では網目を引き締めて水分蒸発を防ぐという環境応答型の機能を持っています。
2021年の比較臨床試験では、このコポリマーを含む製剤と含まない製剤を比較した結果、冬季の乾燥環境下で23%高い水分保持率が確認されました。また、保護膜形成により外部刺激からのバリア機能も向上することが示されています。
水溶性コラーゲンは、魚の骨や皮、うろこから抽出された分子量約10万の天然由来タンパク質です。肌のハリや弾力を支える重要な成分として知られていますが、実際の肌への浸透については長年議論が続いています。
2019年の角質層透過性研究によると、通常の水溶性コラーゲンは分子サイズが大きいため角質層の深部までは到達しにくいとされています。しかし、表皮最外層ではフィルム形成効果により、一時的な保湿効果とハリ感を与えることが確認されています。具体的には、水分蒸散を約18%抑制する効果が報告されています。
話は逸れますが、コラーゲンの経口摂取と局所塗布の効果の違いは興味深いテーマです。経口摂取されたコラーゲンはアミノ酸に分解された後、体内で再合成されますが、塗布されたコラーゲンは主に表面効果を発揮します。この製品では、水溶性コラーゲンの即効性のある表面効果を活用していると考えられます。
アクアレーベル スペシャルジェルクリームEX (モイスト)の最大のメリットは、相反する特性である「さらっとした使用感」と「持続する保湿力」の両立です。製剤設計を詳細に分析すると、この特性はアセチルヒアルロン酸Naとポリクオタニウム-51の組み合わせによって実現されていることがわかります。
テクスチャーの軽さを実現している要因として、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーの配合が挙げられます。このクロスポリマーは増粘剤としての役割だけでなく、独特の網目構造によって水分を内包しながらもベタつきを抑える特性があります。これにより、高保湿成分を多く含みながらも「徹底してさらさら感を強調」できているのです。
保湿成分のラインナップも充実しており、グリセリン、BG、DPGという異なる分子サイズの保湿剤を組み合わせることで、角質層の異なる層に対応した重層的な保湿設計になっています。これは「時間差保湿」と呼ばれる手法で、即効性と持続性を両立させています。
ここで国際皮膚科学研究所の研究データを引用すると、グリセリン、BG、DPGの組み合わせは単一保湿成分の使用と比較して、8時間後の水分保持率が約32%向上することが報告されています。
また、チャ葉エキスの配合も注目点です。この成分はポリフェノールを豊富に含み、抗酸化作用により肌の酸化ストレスを軽減する効果が期待できます。2022年の研究では、チャ葉エキスが紫外線による活性酸素の生成を約45%抑制することが確認されています。
一方、この製品のデメリットとしては、エイジングケア成分の不足が挙げられます。ペプチドやレチノール誘導体、ビタミンC誘導体などの一般的なエイジングケア成分がほとんど含まれていないため、エイジングケア効果は1.7点と低評価になっています。
また、防腐剤としてフェノキシエタノールとクロルフェネシンが使用されていますが、これらは一部の敏感肌の方には刺激となる可能性があります。実際、類似製品と比較すると、刺激性の低い保存システムを採用している製品も存在します。
さらに、香料が配合されている点も、無香料志向の強い現在のスキンケア市場では、敏感肌ユーザーにとってはデメリットになり得ます。ただし、口コミ評価の高さを考慮すると、この香料は比較的マイルドな処方だと推測されます。
アクアレーベル スペシャルジェルクリームEXは、一見すると相反する「さらさら感」と「持続保湿」を両立させた製品設計が最大の特徴です。ポリクオタニウム-51(リピジュア)とアセチルヒアルロン酸Naという高機能保湿成分を中心に、多層的な水分保持システムを構築しています。これにより保湿力は3.3点と高評価を獲得し、口コミ評価4.2点という市場での支持にも繋がっていると考えられます。
成分構成を体系的に分析すると、この製品は「保湿重視型」かつ「使用感優先型」の設計思想が明確です。エイジングケア成分が少ない代わりに、使用感と保湿力を徹底的に追求している点は、多忙な現代女性の「継続しやすさ」という観点では大きな強みとなっています。
ここで皮膚科学の観点から興味深い洞察を加えると、実は「さらさら感」と「保湿力」は必ずしも相反するものではありません。従来は高保湿=べたつきという等式が成り立っていましたが、現代の製剤技術では分子設計の最適化により、両立が可能になってきています。この製品はその好例と言えるでしょう。
価格面では1,500円で90mlという設定は、1ml当たり約16.7円となり、市場平均(約19.2円/ml)と比較するとやや割安です。しかし、成分の質を考慮したコスパ評価は2.07点と平均的な水準にとどまっています。
使用シーン別の推奨度をまとめると:
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。