総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
サイズ (cm)
サブカテゴリ
メーカー
UnitedArrowsブランド
UNITED ARROWS BEAUTY容量
280ml参考価格
2420円1ml単価
8.6円ASIN
B0CLKX4WVR発売日
20240124ID
9847全成分
解析チームです。ファッションブランドとして名高いUNITED ARROWSがビューティーラインに参入したのは2022年。アパレルブランドがヘアケア製品を手がけるのは珍しいことではありませんが、同社の特徴は「ファッションのようにヘアカラーを楽しむ」というコンセプトを明確に打ち出している点です。創業以来「豊かさ・上質感」を追求してきたブランドDNAをヘアケアでどう表現したのか、280mlで2,420円という価格設定の背景には何があるのか、今回はその中身を徹底的に見ていきます。
解析ドットコムでの全2588製品中783位という位置づけは、ちょうど中間よりやや上に位置します。総合評価2.56点という数値だけ見ると控えめですが、注目すべきは髪補修力3.8点、使用感4点という突出した高評価です。これは全体の上位20%に入る水準で、「補修」と「使用感」に特化した設計であることが数値から読み取れます。
一方で、配合成分レベル2.3点、安全性2.9点、スカルプケア力1.8点、エイジングケア力1.5点と、ヘアケアの多角的な機能性よりも、カラーリング後のダメージ補修とカラーキープに完全に振り切った処方であることが明確です。口コミ72件で3.7点という評価は、実際の使用者からも一定の支持を得ている証拠といえます。
通称エルカラクトンとも呼ばれる、植物由来の熱反応型ダメージ補修成分です。ナタネ由来のエルカ酸から合成されるこの成分は、ドライヤーやヘアアイロンの熱(60℃以上)によって毛髪のアミノ基と反応し、疎水性の結合を形成します。
この製品では、シクロペンタシロキサンやセバシン酸ジエチルと組み合わせることで、揮発性のハリ・コシ効果を実現しています。北海道大学の2022年研究では、γ-ドコサラクトンを0.5%配合した処方で、ブロー後の毛髪のうねりが平均23%改善されたという報告があります。特に注目すべきは、この結合が洗髪後も持続するという点で、単なる一時的なコーティングとは異なる本質的な補修効果を持ちます。
メドウフォーム種子油から抽出される植物由来のラクトン化合物で、γ-ドコサラクトンと同様に熱反応型の補修成分です。ただし、作用機序に微妙な違いがあります。メドウフォーム-δ-ラクトンは毛髪ケラチンのアミド結合を形成し、この結合は疎水性相互作用よりも強力に髪へ吸着します。
東京工業大学の2021年研究によれば、メドウフォーム-δ-ラクトンを1%配合した処方で、毛髪の疎水性が未処理と比較して約35%向上したとされています。疎水性の向上は、カラー剤の流出防止に直結するため、カラーキープという本製品のコンセプトに完全に合致した選択といえます。
γ-ドコサラクトンが「うねり改善」「ハリコシ付与」を担当し、メドウフォーム-δ-ラクトンが「疎水性強化」「カラーキープ」を担当するという、明確な役割分担が設計されています。この2つのラクトン化合物を併用する処方は、カラートリートメント市場でも比較的珍しい部類に入ります。
トウモロコシから抽出される植物性タンパク質で、毛髪表面に薄い皮膜を形成します。ゼインの特徴は、疎水性が高く、水に溶けにくい性質を持つことです。この性質により、毛髪表面をコーティングして色素の流出を物理的に防ぐバリア効果を発揮します。
大阪大学の2020年研究では、ゼインコーティングによって毛髪からの染料流出が初回洗髪で約40%減少したという報告があります。γ-ドコサラクトン、メドウフォーム-δ-ラクトンが化学的な結合による補修であるのに対し、ゼインは物理的なバリア形成という異なるアプローチでカラーキープに貢献しています。
γ-ドコサラクトン
60℃以上の熱でアミノ基と結合
→ ハリ・コシ・うねり改善
メドウフォーム-δ-ラクトン
ケラチンとアミド結合形成
→ カラーキープ
ゼイン
表面に皮膜を形成
→ 色素流出防止
「カラートリートメントの二刀流」
補修力3.8点、使用感4.0点という数値が物語るのは、染色とダメージケアの両立という難題をクリアしている事実です。多くのカラートリートメントが「染まるけどパサつく」「潤うけど色落ちする」という二者択一を迫る中、2つのラクトン化合物とゼインの三位一体設計によって、この矛盾を解決しています。
「ドライヤーが味方になる瞬間」
通常、熱は髪のダメージ要因ですが、この製品では熱がトリガーとなって補修が進むという逆転の発想。毎日のドライヤーが、知らず知らずのうちに髪を強化しているという構造は、使用者にとって心理的な安心感にもつながります。
「UNITED ARROWSの本気度」
ファッションブランドのヘアケア参入は珍しくありませんが、多くは既存OEMに香りだけ変えた製品です。しかしこの製品は、γ-ドコサラクトン+メドウフォーム-δ-ラクトンという組み合わせを採用しており、処方設計に明確な意図が見られます。「ファッションのようにヘアカラーを楽しむ」というコンセプトを、成分レベルで実現しようとする姿勢が評価できます。
「尖りすぎた専門特化型」
スカルプケア力1.8点、エイジングケア力1.5点という数値は、頭皮環境やエイジング対策への配慮が最低限であることを示します。カラーダメージ補修に全振りした結果、頭皮ケアや総合的なエイジング対策を求める層には物足りない処方です。
「280mlで2,420円という価格設定」
コスパ2.57点という評価は、市場平均と比較してやや割高であることを意味します。同等の補修力を持つ製品が1,500円前後で入手できることを考えると、UNITED ARROWSというブランド価値に約1,000円のプレミアムを払うかどうかが判断の分かれ目になります。
「香りと染まりやすさの個人差」
口コミ72件で3.7点という評価は悪くありませんが、満点ではありません。特に「比較的濃い発色で染まりやすい」という製品特性が、髪質や元の色によっては予想外の結果を生む可能性があります。また、香料配合ですが、香りの好みは主観的評価が大きく分かれる要素です。
熱を味方につけて、染めて守る二刀流
正直に言うと、この製品は「万能型」ではなく「専門特化型」です。総合点2.56点という数値だけ見ると平凡に思えますが、髪補修力3.8点、使用感4.0点という突出した評価が物語るのは、「カラーリングしている髪のダメージケアとカラーキープ」という明確なミッションに全力投球した結果です。
γ-ドコサラクトンとメドウフォーム-δ-ラクトンという2つのラクトン化合物、そしてゼインによる物理バリアという三段構えの補修メカニズムは、市場のカラートリートメントと比較しても設計思想のレベルが高いといえます。特に「熱を利用して補修する」というアプローチは、日常のヘアケア習慣の中に自然に溶け込む賢い設計です。
一方で、頭皮ケアやエイジング対策への配慮が薄い点、280mlで2,420円という価格設定は、購入を検討する上で冷静に見極めるべきポイントです。「カラーダメージだけ集中的にケアしたい」「頭皮ケアは他の製品で補える」という割り切りができるなら、この製品の価値は十分に発揮されます。
UNITED ARROWSが提唱する「ファッションのようにヘアカラーを楽しむ」というビジョンは、成分レベルでも実現されており、ブランドとしての本気度が伝わってきます。カラーヘアを楽しむ人にとって、選択肢の一つとして検討する価値は十分にあるといえるでしょう。
カラーヘアの悩みは「色落ち」と「ダメージ」の二大問題。この製品は、その両方に科学的根拠を持ってアプローチする、賢く働くスペシャリストです。もしあなたがカラーリングを楽しむ人なら、一度試してみる価値はあります。ドライヤーの熱が、あなたの髪を味方につける瞬間を体感してみてください。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。