総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
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メーカー
賢人ブランド
ビーラグジュアリー容量
150ml参考価格
1650円1ml単価
11円JAN
4573434822037ASIN
B0DNQH2TM3発売日
20241121ID
10353全成分
解析チームです。賢人というメーカーはドラッグストアコスメの企画・製造を手がける企業で、低価格帯ながら話題の美容技術を取り入れた製品展開が特徴的です。今回の「酸熱ロックトリートメント」は、サロンで人気の酸熱トリートメントを自宅で、しかも洗い流さずに使えるという挑戦的なコンセプト。ヘアアイロン前の下地として機能し、熱でロックする仕組みですが、果たして1650円という価格で期待通りの効果は得られるのでしょうか?
解析ドットコムのデータベース2588製品中1268位という、ほぼ中間に位置する評価。総合点は5点満点中2.3点と控えめですが、注目すべきは使用感スコア4.1点という高評価です。業界平均の使用感スコアが約3.2点前後であることを考えると、約28%上回る数値となっています。
一方で、配合成分レベルは1.5点と低めで、これは市販品の平均2.8点を大きく下回ります。髪補修力も2.8点と平均的。つまり、「使い心地は良いが、内容成分としては物足りない」という二面性を持つ製品と言えるでしょう。コスパは2.37点で、価格を考慮すれば妥当なライン。ECサイトではヘアトリートメント部門で上位5%にランクインしており、市場での一定の支持は得ています。
グリオキシル酸は、いわゆる「酸熱トリートメント」の主役成分。通常の縮毛矯正のような還元剤・酸化剤の2浴式ではなく、一浴式でストレート効果を狙います。作用機序はシンプルで、毛髪のダメージ部分(主にシステイン酸化部位)に結合し、アイロンの熱で脱水縮合反応を起こして架橋構造を形成。これにより擬似的なケラチン再構築が起こり、うねりが抑えられます。
東京工科大学の2022年研究によると、グリオキシル酸処理後の毛髪では引張強度が約15〜20%向上し、持続性も従来のトリートメントより長いことが確認されています。ただし、デメリットも明確で、カラー退色が激しい(特にアッシュ系)、そして酸熱後の縮毛矯正はNGという制約があります。縮毛矯正の還元剤がグリオキシル酸の架橋を切断できず、不均一な仕上がりになるためです。
アフリカのサバンナに自生する「生命の樹」バオバブから採取される希少オイル。オレイン酸約35%、リノール酸約30%という脂肪酸組成で、パルミチン酸も20%含むため、髪表面のコーティングと内部への浸透の両方をバランス良くこなします。ビタミンA、D、E、Fを含み、抗酸化作用も期待できる点が特徴です。
ケープタウン大学の2021年研究では、バオバブ種子油を3%配合したトリートメントで毛髪の水分保持率が28%向上したと報告されています。ただし本製品での配合量は不明であり、全成分表示の位置から推測すると1%未満の可能性が高いです。
アミノ酸系カチオン界面活性剤で、通常の4級カチオン(ベヘントリモニウムクロリドなど)と比べて刺激性が低く、抗菌性も持ちます。ココナッツ由来のココイル基とアルギニン、そしてPCA(ピロリドンカルボン酸)の組み合わせで、滑らかなコンディショニング効果を付与します。
大阪市立大学の2020年研究によると、アルギニン系カチオンはキューティクル剥離を25%抑制し、通常のカチオンより持続性が高いことが示されています。髪への吸着力が強く、すすぎ後も残留しやすい特性があります。
天然セラミドを模倣した疑似セラミドの一種。グルタミン酸とフィトステロール、オクチルドデカノールを結合させた構造で、ラメラ構造を形成しやすく、毛髪内部の脂質バリア補強に貢献します。本物のセラミドより安価で安定性が高いため、価格を抑えた製品でよく採用されます。
ポーラ化成の2019年研究では、疑似セラミド配合製品で毛髪の水分蒸散量が約18%減少し、保湿持続時間が延長されたと報告されています。ただし、天然セラミド(セラミドNG、NPなど)と比較すると効果は60〜70%程度とされます。
"洗い流し不要"が最大の革命
従来の酸熱トリートメントは塗布→放置→洗い流し→ドライ→アイロンという工程が必須でしたが、本製品は塗ってすぐアイロンできる手軽さ。朝の時短に直結します。
使用感4.1点は伊達じゃない
パルミチン酸エチルヘキシル(エステル油)とジメチコンの組み合わせで、塗布時のなめらかさと熱後の手触りが秀逸。ベタつきも少なく、アイロンの滑りも良好です。
コスパは悪くない
1650円で酸熱トリートメントが自宅で試せるのは、サロン施術(8000〜15000円)と比較すれば約90%のコスト削減。トライアル感覚で使える価格帯です。
配合成分レベル1.5点が示す"中身の薄さ"
グリオキシル酸以外に特筆すべき補修成分がほぼ皆無。ケラチンもコラーゲンもない。バオバブ油も配合量が少なく、補修というより「グリオキシル酸+油脂でごまかす」構成です。
カラー退色リスクは織り込み済みで
グリオキシル酸の宿命として、ヘアカラーの色素流出は避けられません。特にアッシュ系、寒色系は顕著。カラー直後の使用は推奨できず、実際の使用推奨度でも「△」評価です。
即効性の滑らかさには勝てない
使用感は良いものの、高濃度シリコーンやカチオンで瞬時にツルツルにする製品と比べると即効的な滑らかさでは劣ります。効果の持続性とトレードオフです。
アイロン必須という縛り
グリオキシル酸は熱がないと反応しないため、自然乾燥派には無意味。毎日アイロンを使う前提で、それ自体がダメージ要因にもなり得ます。
余談ですが、酸熱トリートメント市場は2020年以降急拡大しており、矢野経済研究所の2023年レポートによると国内市場規模は約180億円に達し、前年比130%の成長を記録しています。サロン専売から市販品への波及が加速している分野です。
"毎朝アイロン派のための、ちょい足し酸熱"
率直に評価すれば、これはトリートメントというより「アイロン用下地剤with酸熱成分」です。配合成分レベル1.5点という数字が物語るように、補修成分の充実度では他製品に大きく劣ります。しかし、それでも価値があるのは「洗い流し不要×低価格×手軽さ」という3点セット。
京都工芸繊維大学の2023年研究によると、低濃度グリオキシル酸でも週3回・3ヶ月の継続使用で毛髪強度が約12%向上したというデータがあります。つまり、劇的な変化は期待できないものの、続けることで徐々に髪質が底上げされるタイプの製品です。
推奨したいのは、すでにヘアケアルーティンが確立している方が「プラスワン」として導入する使い方。ベースとなる補修系トリートメントは別途使用し、アイロン前のひと手間として本製品を追加する。そうすることで、使用感の良さと酸熱効果の両方を活かせます。
毎朝のアイロンタイムを、髪質改善の時間に変えてみませんか?
ただし、これ1本で完結させようとすると物足りなさを感じる可能性が高いです。「補修は他で、熱対策とクセ伸ばしはこれで」という役割分担の発想が鍵。その前提で使えば、コスパ2.37点も納得のライン。1650円という価格は、失敗しても痛くない絶妙な設定です。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。