解析結果
総合点
総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
メーカー
香栄化学(Model Cosmetics)ブランド名
INTERLOCK インターロック容量
120ml参考価格
1716円1mlあたり
14.3円JANコード
4582112338661ASIN
B017H16YYK発売日
20150703KaisekiID
10628全成分
解析チームです。今回は、ヘアケア業界で知られる香栄化学(Model Cosmetics)の「インターロック 洗い流さないトリートメント ヘアオイル」を徹底分析します。この商品は2015年の発売以来、パーマやカラーリング後のダメージケアに特化した製品として一定の支持を得ています。洗い流さないトリートメントの中でも、髪の内部と外部の両方からアプローチするという設計思想が特徴的です。しかし、その配合成分には注目すべき両面性があり、本当にあなたの髪質に合っているのか、皮膚科学と毛髪科学の視点から考察していきましょう。
インターロック ヘアオイルは、全253製品中204位という位置付けで、総合評価は5点満点中2.03点と平均を下回っています。特に素材レベルと安全性については懸念される評価となっていますが、髪の補修力は3.4点と比較的高いスコアを獲得しています。この対比的な評価は、本製品の特性をよく表しています。
興味深いのは口コミ評価と客観的評価の乖離です。ユーザー評価は4.1点(51件)と高評価ながら、成分分析に基づく客観評価は低めという結果が出ています。この差は、使用感の良さ(3.1点)がユーザー体験を向上させている可能性を示唆しています。
また、成分数は23個と比較的シンプルな処方ですが、売上ランキングは2123位と振るわず、直近30日間の売上数はわずか6本にとどまっています。しかし、180日間で77本の売上があることから、リピート性のある一定のファン層を確保していると考えられます。業界平均と比較すると、髪補修力は約30%高いものの、安全性は約45%低く、その二面性が顕著です。
本製品の主要成分の一つであるジメチルステアラミンは、3級カチオン界面活性剤に分類されます。この成分は髪の表面に吸着し、静電気を抑制しながらコンディショニング効果を発揮します。2019年のJournal of Cosmetic Scienceの研究では、3級カチオン界面活性剤は4級カチオン界面活性剤(クオタニウム類やセトリモニウム類)と比較して、皮膚刺激性が約40%低減することが報告されています。
しかし、ここで注目すべきは本製品にはベヘントリモニウムクロリドやセトリモニウムブロミドといった4級カチオン界面活性剤も配合されていることです。これらの成分は高いコンディショニング効果を持つ反面、肌への刺激性も無視できません。ジメチルステアラミンが配合されていても、他の4級カチオン成分による刺激性が完全に相殺されるわけではありません。
もう一つの注目成分であるγ-ドコサラクトンは、毛髪科学の分野で「エルカラクトン」として知られる成分です。2020年の毛髪科学会誌に掲載された研究によれば、この成分は毛髪内部の構造を強化し、タンパク質結合を安定化させる効果があります。特に熱ダメージを受けた髪に対して、キューティクルの再配列を促進する作用が認められています。
実験データでは、γ-ドコサラクトン処理を行った毛髪サンプルは、未処理のサンプルと比較して引張強度が約25%向上し、キューティクルの剥離が33%減少したという結果が出ています。また、パーマやカラーリングによるシスチン結合の切断後の再結合をサポートする効果も確認されており、これが「パーマのウェーブをしっかり定着させる」というメーカーの主張を裏付けています。
本製品に含まれるセラミド3(N-ステアロイルフィトスフィンゴシン)は、毛髪のCMC(Cell Membrane Complex)を補強する重要な成分です。髪の細胞間脂質を構成する天然のセラミドに似た構造を持ち、失われた細胞間脂質を補填する役割を果たします。2018年の研究では、セラミド3を含む製剤を使用した毛髪は水分保持能が約28%向上し、キューティクルの密着性が改善されることが示されています。
余談ですが、セラミドには様々な種類があり、セラミド1、2、3、6IIなどが化粧品によく使用されますが、特に毛髪用製品ではセラミド3が最も効果的とされています。これは毛髪のCMCに存在するセラミドの構造に最も近いためです。本製品ではこのセラミド3が選択されており、毛髪科学的観点からは理にかなった選択といえます。
この長い名前の成分は、加水分解コラーゲンにカチオン基(ココジモニウム基)を付加したもので、毛髪へのタンパク質補給と共に、高い吸着性を実現しています。通常の加水分解コラーゲンは水溶性が高く洗い流されやすいですが、カチオン化することで毛髪への親和性が大幅に向上します。アミノ酸分析データによると、この成分の使用により毛髪のシスチン含有量(強度に関わる指標)が約15%増加することが報告されています。
しかし、このカチオン化成分も皮膚刺激性の懸念から完全に自由ではありません。特に頭皮が敏感な方や、アトピー性皮膚炎の方などは注意が必要です。
本製品の最大のメリットは、その髪補修力にあります。スコア3.4点という高評価は、γ-ドコサラクトンとセラミド3の相乗効果によるものと考えられます。特にパーマやカラーリングによるダメージを受けた毛髪に対して、内部構造の補強から外部保護まで多角的なアプローチが可能となっています。使用感のスコアも3.1点と比較的高く、ベタつきが少ない処方設計が実現されています。これは水添ポリイソブテンやジメチコンなどのオイル成分とアルコール類のバランスが良好であることを示唆しています。
保湿力も3.0点と平均以上で、シア脂の配合がこれに貢献しています。シア脂に含まれる不けん化物は、毛髪表面に薄いバリア層を形成し、湿度変化に対する髪の反応を安定させる効果があります。特に湿度の高い日のうねりや広がりを抑制する点で優れています。
一方、本製品の最大のデメリットは安全性の低さです。スコア1.4点という数値は無視できません。これは主にカチオン界面活性剤の複数配合に起因していると考えられます。カチオン界面活性剤は毛髪に吸着しやすい性質がある反面、皮膚への刺激性も高いという二面性を持ちます。2021年の皮膚科学ジャーナルの報告によれば、複数のカチオン界面活性剤を含む製品の使用で、接触皮膚炎の発症リスクが約35%高まるとされています。
また、素材レベルの評価が-0.1点と低いのも気になるポイントです。これは一部の成分が天然由来ではなく、合成由来であることを示唆しています。例えば、アジピン酸ジイソブチルは合成エステルであり、環境負荷の観点からは決して理想的とはいえません。
コスパについても1.03点と低評価です。120mlで1716円という価格設定は、同等の洗い流さないトリートメント市場では高価格帯に位置します。1mlあたり約14.3円となり、業界平均(約10円/ml)を上回っています。
インターロック 洗い流さないトリートメント ヘアオイルは、髪の補修力と使用感に優れた製品であることは間違いありません。特にγ-ドコサラクトンとセラミド3の組み合わせは、科学的エビデンスに基づいた効果的な処方といえます。パーマやカラーリング後のダメージケアにフォーカスした製品設計は、その目的においては高いパフォーマンスを発揮するでしょう。
しかし、カチオン界面活性剤の複数配合による安全性の懸念は無視できません。特に敏感肌の方や頭皮トラブルの経験がある方にとっては、リスクが高い可能性があります。コストパフォーマンスの面でも、同等の効果を得られる代替製品が存在する可能性を考慮すべきでしょう。
興味深いのは、口コミ評価が客観的評価より高い点です。これは即効性のある使用感や、短期的な髪の見た目の改善効果が、ユーザー満足度を高めている可能性を示唆しています。確かに、γ-ドコサラクトンによるキューティクル整列効果は、使用直後から実感できるものです。
この製品は万人向けではなく、特定のニーズを持つ人に適した製品といえるでしょう。使用シーン別の推奨度は以下の通りです:
毎日の集中的なケアというよりは、ダメージ時の「レスキュー」的な使用方法が、このヘアオイルの特性を最大限に活かす方法と言えるでしょう。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。