総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
洗浄剤の品質
洗浄力
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サイズ (cm)
サブカテゴリ
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メーカー
株式会社 LIGUNAブランド
あきゅらいず容量
450ml参考価格
3015円1ml単価
6.7円JAN
4573401790512ASIN
B09DSK3SJ7発売日
20210826ID
10996全成分
解析チームです。スキンケア発想で知られる「あきゅらいず」が、その哲学をヘアケアに持ち込んだのがこの「しゃんぷー」。なんでも、中国古来の知恵が詰まった10種の和漢ハーブエキス「草根木皮たまり」を配合し、「リンス不要」の手軽さを実現したという触れ込みです。しかし、成分リストを覗いてみると、アミノ酸系のやさしい洗浄剤の隣に、パワフルな石鹸成分の姿が。この一見矛盾した組み合わせは、一体どんな洗い上がりをもたらすのか?「リンス不要」という甘い言葉の裏に隠された真実を、成分の働きから科学的に、そして忖度なく解き明かしていきます。
まずは、このシャンプーが市場でどのポジションにいるのか、客観的なデータで見ていきましょう。結論から言うと、「髪のコンディションより頭皮の健康を最優先する、玄人好みのスカルプケア特化型シャンプー」という評価になります。
解析ドットコムの総合ランキングでは3036商品中1431位、総合点は5点満点中2.6点。この数字だけを見ると「ごく平均的なシャンプー?」という印象を受けるかもしれません。しかし、重要なのはその内訳です。各性能を可視化するレーダーチャートを見ると、このシャンプーの極めてユニークな性格が浮かび上がってきます。
チャートが示す通り、「洗浄力:4.1点」と「スカルプケア力:3.6点」という2つの項目が突出して高い数値を記録しています。これは、配合されている豊富な和漢ハーブエキス群と、汚れを的確に除去する洗浄設計の賜物でしょう。調査によると、市販シャンプーのスカルプケア評価の平均値が約2.8点前後であることから、この3.6点という数値は、明らかに頭皮へのアプローチを最重要視していることの証明です。
その一方で、「髪補修力:2.2点」は平均を大きく下回る結果となっています。この極端なアンバランスさこそが、このシャンプーの核心です。要するに、「髪のサラサラ感やダメージ補修といった"対症療法"よりも、まず頭皮という土壌を健やかに保つという"根本原因"にアプローチする」という、非常に明確でストイックな意志を持った製品だと言えます。このユニークな思想が、「リンスのいらない」という謳い文句の真偽を解き明かす鍵となるのです。
このシャンプーの個性を決定づけているのは、洗浄剤のユニークな組み合わせと、それを支える和漢ハーブの力です。ここでは特に重要な5つの成分群をピックアップし、その役割と相互作用を科学的な視点から深掘りします。
このシャンプーの洗浄力の高さを支える主役の一つが、この石鹸成分です。ヤシ油を水酸化カリウム(K)で鹸化(けんか)して作られます。最大のメリットは、豊かな泡立ちと、皮脂や整髪料などの頑固な汚れをしっかり落とすパワフルな洗浄力。洗い上がりの「キュキュッ」としたさっぱり感は、この成分によるところが大きいでしょう。
しかし、ここが非常に重要なポイントです。石鹸は化学的に「脂肪酸塩」であり、水に溶けると弱アルカリ性を示します。健康な髪や頭皮は弱酸性(pH4.5〜5.5)に保たれていますが、アルカリ性の環境に晒されると、髪の表面を覆うウロコ状のキューティクルがわずかに開いてしまいます。これが、洗い流す際のきしみや、乾燥後のごわつきに繋がる直接的な原因です。「リンス不要」を謳う製品に、あえてこのキューティクルを開かせる性質を持つ成分を主軸近くに配合している点こそ、このシャンプーの最も挑戦的で、理解が難しい部分と言えます。
こちらはアミノ酸系洗浄剤の代表格。アミノ酸の一種であるグルタミン酸とヤシ油脂肪酸から作られ、非常にマイルドで、肌や髪への刺激が少なく、洗い上がりに潤いを残すのが特徴です。その低刺激性から、ベビーシャンプーや敏感肌用製品にも頻繁に採用されます。
このシャンプーにおいて、ココイルグルタミン酸TEAは、ヤシ脂肪酸Kの強い洗浄力やアルカリ性を緩和し、コンディショニング効果を補う「調停役」としての役割を担っていると考えられます。石鹸がアルカリ性でキューティクルを開かせがちなのに対し、この成分は髪と肌に優しく作用し、過剰な脱脂を防ぎます。いわば、石鹸の「さっぱり感」とアミノ酸系の「しっとり感」の"いいとこ取り"を狙った設計思想が見て取れます。ただし、両者の配合バランスが非常に重要で、石鹸のパワーをどこまで効果的にコントロールできているかが、最終的な使用感を左右する最大の分かれ道になります。
シャンプーの洗浄剤は、単体で使われることよりも、複数の種類を組み合わせて使われることがほとんどです。これは、それぞれの長所を活かし、短所を補い合うためです。例えば、泡立ちが良いが洗浄力が強い「高級アルコール系」に、マイルドな「アミノ酸系」を混ぜて刺激を緩和したり、洗浄力を調整したりします。この「あきゅらいず しゃんぷー」における「石鹸」と「アミノ酸系」の組み合わせは、その中でも特に個性的で、開発者の強いこだわりを感じさせる処方と言えるでしょう。
「スカルプケア力3.6点」という高評価の根拠となる、極めて重要な成分です。センブリは「千回振り出しても(煎じても)まだ苦い」ことからその名がついたと言われ、古くから健胃薬や育毛環境を整える目的で利用されてきました。
その作用メカニズムの一つが、含有成分「スウェルチアマリン」による血行促進効果です。例えば、2022年に発表された徳島大学の研究では、スウェルチアマリンが皮膚の毛細血管に直接作用し、血管を拡張させることで局所的な血流を増加させる可能性が示唆されています。(参考研究)。頭皮の血行が良くなることで、髪の成長に不可欠な栄養素や酸素が毛根の毛母細胞へ効率的に届けられるようになります。これにより、健やかな髪が育つための土台を力強く整えることが期待されます。ただ髪を洗うだけでなく、「頭皮を育む」という視点が、この成分から強く感じられます。
頭皮も顔や体と同じ「皮膚」です。当然、紫外線、乾燥、ストレス、あるいは不適切なヘアケアによって微細な炎症(いわゆる"肌荒れ")を起こすことがあります。この炎症は、かゆみやフケといった不快な症状だけでなく、放置するとヘアサイクルの乱れや抜け毛の遠因にもなり得ます。
ここで活躍するのが、ヒキオコシ葉/茎エキス(延命草エキス)やシソ葉エキスといった、抗炎症作用で知られる和漢ハーブです。これらのエキスには、ロズマリン酸や各種フラボノイドが豊富に含まれており、炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカインなど)の働きを穏やかにする作用が多くの研究で報告されています。いわば、頭皮で起こる小さな"ボヤ"を未然に防いだり、鎮めたりしてくれる「火消し役」のコンビです。これにより、頭皮を常に刺激の少ない、落ち着いた健やかな状態に保つことを目指しています。
髪の主成分であるタンパク質「ケラチン」を、水と熱で細かく分解(加水分解)し、髪の内部に浸透しやすくした補修成分です。カラーやパーマ、紫外線などでダメージを受けてできた髪の空洞(ダメージホール)に入り込み、内部から強度を高め、ハリやコシを与える効果が期待されます。
しかし、このシャンプーの評価で「髪補修力:2.2点」と伸び悩んでいるのはなぜでしょうか。それは、ここまで繰り返し述べてきた洗浄成分との関係にあります。アルカリに傾きやすい石鹸ベースの洗浄環境では、キューティクルが開きがちになります。開いたキューティクルからは、せっかく補給した補修成分も流出しやすくなってしまいます。配合されていること自体はダメージヘアにとってプラスですが、このシャンプー単体でハイダメージ毛を劇的に修復するほどの効果を期待するのは、処方全体を見ると少し難しいと言わざるを得ません。あくまで「何もないよりは良い」という補助的な役割と捉えるのが現実的です。
さて、成分の役割と相互作用が見えてきたところで、いよいよ核心に迫りましょう。このシャンプーの本当の強みはどこにあり、そして「リンスのいらない」という魅力的な言葉を、私たちはどう受け止めるべきなのか。忖度なしで率直に解説します。
このシャンプーの真価は、髪の仕上がりではなく、「頭皮」そのものを健やかに育む力にあります。これは断言できます。センブリエキスによる血行促進、シソ葉エキスやヒキオコシ葉/茎エキスなど、メーカー独自のブレンド「草根木皮たまり」に含まれる多数の和漢ハーブによる抗炎症作用。これらは、多くの人が悩む頭皮のベタつき、かゆみ、ニオイ、フケといったトラブルの根本原因に多角的にアプローチする、非常に考え抜かれた設計です。
洗浄力が4.1点と高いのも、単にさっぱりさせるためだけではありません。頭皮に残った余分な皮脂や古い角質、スタイリング剤の残りをしっかり除去し、これらの有用成分が角質層まで浸透しやすいクリーンなキャンバス(頭皮)を作るため、と考えると非常に合理的です。「髪を洗う」という行為を、「頭皮の土壌を耕し、栄養を与える時間」へと昇華させる。これは、一般的な「しっとり」「サラサラ」を謳うシャンプーとは一線を画す、明確な強みであり、この製品の存在意義そのものと言えるでしょう。
「アミノ酸系シャンプーって、優しいけど泡立ちが悪くて、なんだかスッキリしない…」そんな経験はありませんか?洗浄力がマイルドな反面、特に皮脂の多い方や整髪料を使う方にとっては、物足りなさを感じることが少なくありません。
このシャンプーは、その弱点をヤシ脂肪酸K(石鹸)と、もう一つの洗浄剤スルホコハク酸ラウレス2Naを巧みに配合することで、見事に克服しています。豊かな泡で頭皮全体を包み込み、指の腹でしっかりとマッサージでき、洗い流した後のさっぱり感は格別です。特に、皮脂分泌が多くなりがちな方や、汗をかく夏場の使用には、この上ない爽快感をもたらしてくれるはずです。優しいだけじゃない、攻めの洗浄力も兼ね備えているのが、このシャンプーの面白いところです。
ここが、このシャンプーを検討する上で最も慎重になるべき、そして最もお伝えしたいポイントです。「リンスのいらない」という謳い文句は、残念ながらすべての人に当てはまる魔法の言葉ではありません。むしろ、髪質や髪の状態によっては、逆効果になる可能性すらあります。
その最大の理由は、やはり「ヤシ脂肪酸K(石鹸)」の性質に起因します。科学的な視点から、2つの大きなハードルが存在します。
前述の通り、石鹸は弱アルカリ性です。髪は弱酸性の状態でキューティクルがキュッと閉じて安定し、ツヤや滑らかな手触りを生み出します。しかし、シャンプー中にアルカリ性に傾くと、キューティクルが魚のウロコのように少し開いてしまいます。この状態で髪同士が擦れると、摩擦が大きくなり、指通りが悪化し、きしみの原因となります。これが「石鹸シャンプーはきしむ」と言われる主な理由です。
これは見過ごされがちな、しかし非常に重要な問題です。石鹸成分(脂肪酸塩)は、日本の水道水に多く含まれるマグネシウムイオンやカルシウムイオンといったミネラル分と結合し、「金属石鹸」という水に溶けない物質を生成します。これが、一般に「石鹸カス」と呼ばれるものです。この石鹸カスが髪の表面に付着すると、独特のゴワつきや、まるでワックスが残っているかのようなベタつき、手触りの悪さを引き起こします。特に、硬度の高い地域にお住まいの場合、この問題は顕著に現れる可能性があります。
もちろん、開発者もこの問題を理解しており、ココイルグルタミン酸TEAや、カチオン性のコンディショニング成分であるポリクオタニウム-10を配合することで、これらのデメリットを緩和しようと奮闘しています。ポリクオタニウム-10はプラスの電荷を帯びており、マイナスに帯電しやすい髪のダメージ部分に吸着し、指通りを良くする働きがあります。
そのため、「髪が短く、ダメージの少ない健康な方」や「もともと髪が丈夫で太い方」であれば、これらの緩和策がうまく機能し、リンスなしでも問題ないかもしれません。しかし、ヘアカラーやパーマを繰り返しているダメージ毛、乾燥しやすい髪、そして摩擦が起きやすいロングヘアの方にとっては、このシャンプー単体ではきしみやパサつきを感じる可能性が非常に高いでしょう。むしろ、アルカリに傾いて開いたキューティクルを、本来の弱酸性の状態に戻し、滑らかに整えるために、後から酸性のトリートメントやコンディショナーでケアすることが不可欠とさえ言えます。
結論として、「リンス不要」という言葉は、「そういう仕上がりを目指した設計思想であり、一部の髪質では実現可能」というメッセージと受け止め、自分の髪の状態と冷静に相談しながら使うのが、最も賢明な付き合い方です。
さて、長々と語ってきましたが、akyrise(あきゅらいず)の「しゃんぷー」をひと言で表現するならば、それは『髪への優しさより頭皮の健康を優先した、ストイックな漢方クレンジング』です。
「リンス不要」というキャッチーな言葉に惹かれますが、その本質は、髪の指通りや手触りを良くすることよりも、徹底的に頭皮環境をクリーンにし、和漢ハーブの力で健やかに育むことにあります。洗浄力の高い石鹸で日々の汚れや古い角質を一度リセット(クレンジング)し、がら空きになった頭皮に、センブリやシソといった「頭皮の栄養剤」を惜しみなく注ぎ込む。このユニークな発想は、他の多くのシャンプーにはない、唯一無二の大きな魅力です。
ただし、そのストイックさゆえに、髪そのもののコンディションを整える力は控えめです。特にダメージヘアの方は、「リンス不要」の言葉を鵜呑みにせず、シャンプー後は必ずお手持ちのトリートメントやコンディショナーでキューティクルを整える工程を挟むことを強く推奨します。この一手間を惜しまないことで、初めてこのシャンプーの真価、すなわち「卓越したスカルプケア効果」を最大限に享受できるのです。
あなたの髪と頭皮の悩み、どちらがより深刻ですか?もし答えが「頭皮」なら、この個性派シャンプーを試す価値は十分にあります。これは、美髪を目指すための一つの「手段」ではなく、健やかな頭皮という「土台」を作るための、新しい選択肢なのです。
まさにこのシャンプーの得意分野です。高い洗浄力で皮脂をすっきり洗い流し、和漢ハーブの力で頭皮の炎症を抑え、健やかな環境へと導いてくれるでしょう。週に数回の「頭皮のスペシャルケア」として取り入れるのも効果的です。
髪が短いと、きしみや絡まりが気になりにくいため、このシャンプーのデメリットを感じにくいです。さっぱりとした洗い上がりとスカルプケア効果の恩恵を最大限に受けられる、最高の相性と言えます。
シャンプー単体での使用はおすすめしません。強力なスカルプケア効果に魅力を感じるのであれば、「シャンプーは頭皮を洗い、トリートメントは髪をケアするもの」と割り切り、保湿・補修力の高いトリートメントとの併用を前提としてください。
アルカリに傾きやすい洗浄成分は、キューティクルを開かせ、カラーの色素流出やパーマのダレを早めてしまう可能性があります。ヘアデザインの維持を最優先するなら、よりマイルドなアミノ酸系やベタイン系の洗浄剤を主軸としたシャンプーを選ぶ方が賢明です。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。