解析結果
総合点
総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
メーカー
マンダムブランド名
TIMEU(タイムユー)容量
400ml参考価格
1760円1mlあたり
4.4円JANコード
4902806131857ASIN
B0DQTG6NRG発売日
20250202KaisekiID
10654全成分
解析チームです。今回はマンダムから2025年2月に発売された「T/MEU(タイムユー) キープモイスト トリートメント」を徹底解析します。マンダムといえば1927年創業の老舗化粧品メーカーで、近年はヘアケア領域でも革新的なアプローチを続けています。特に注目すべきは「湯上がり時間美容」という新発想。髪の毛が乾燥で広がる前のゴールデンタイムにアプローチするという、まさに「時間」に着目した製品開発姿勢が興味深いですね。今日はこの製品の真の実力と、その背景にある毛髪科学の視点から深掘りしていきましょう。
T/MEU キープモイスト トリートメントは、993製品中78位という中上位のポジションを獲得しています。総合評価は2.91点と平均的ですが、注目すべきは「使用感」で満点の5点、「保湿力」で4.5点と高評価を得ている点です。一方、「スカルプケア力」は1.4点、「エイジングケア力」は1.5点と低めの評価となっています。これは本製品が頭皮ケアよりも髪の保湿と使用感に特化した設計であることを示しています。
全29成分という比較的シンプルな処方で、安全性評価は4.7点と高く、一般的なトリートメントの業界平均3.8点を大きく上回っています。この安全性の高さは、着色剤、パラベン、紫外線吸収剤を使用していない「3つのフリー」設計に起因するものでしょう。また、髪補修力は3.1点と平均的ですが、これは即効性のある強力な補修成分よりも、持続的な保湿に重点を置いた設計思想の表れと考えられます。
特筆すべきは「使用感」の満点評価です。これは業界平均3.2点を大きく上回り、上位10%に入る優れた使用感を実現しています。この背景には、後述するカチオン界面活性剤と植物由来成分のバランスが絶妙に調整された処方があると考えられます。
最も注目すべき成分の一つが「パルミタミドプロピルトリモニウムクロリド」です。これは第四級アンモニウム塩(カチオン界面活性剤)の一種で、通常のトリモニウムクロリドに比べて静電気防止効果が約1.5倍優れていることが研究で示されています。2019年の毛髪科学ジャーナルの研究によれば、この成分は負電荷を帯びたダメージ毛の表面に効率的に吸着し、電気的な反発を抑制することで、髪のまとまりを向上させます。
さらに重要なのは、この成分が透明な処方を可能にする点です。従来の高性能コンディショニング剤は白濁した製品になりがちでしたが、パルミタミドプロピルトリモニウムクロリドは透明処方を実現しながら高い性能を発揮します。また、わずか0.5%の添加で増粘効果があり、テクスチャーの調整にも貢献しています。余談ですが、この成分は元々は工業用の帯電防止剤として開発されたものが、その高い安全性と性能から化粧品分野に応用された経緯があります。
次に注目したいのが「メドウフォーム-δ-ラクトン」です。これは脂肪酸誘導体の一種で、熱による活性化機構を持つユニークな成分です。2021年の研究では、このラクトン化合物が加熱(ドライヤーやアイロン使用時)によって開環し、毛髪ケラチンのアミノ基と結合してアミド結合を形成することが示されています。
通常のトリートメント成分が毛髪に対して疎水性相互作用や静電気的相互作用で吸着するのに対し、メドウフォーム-δ-ラクトンは共有結合に近い強固なアミド結合を形成します。この結合力は一般的なカチオン界面活性剤よりも約3倍強いとされ、シャンプーによる流出が少ないため、効果の持続性に優れています。また、このアミド結合形成により毛髪表面の疎水性が向上し、湿度による髪の広がりを抑制する効果が期待できます。話は逸れますが、この成分はメドウフォーム(牧草)由来の天然成分から着想を得て合成された成分で、植物由来成分と合成成分の良いところを組み合わせた例として製剤学的にも注目されています。
「クダモノトケイソウ種子油」「ホホバ種子油」「ユズ果実エキス」の3種は製品名にもある「キープモイスト成分」として配合されています。特に注目したいのはクダモノトケイソウ(パッションフルーツ)種子油で、オメガ-6脂肪酸を約70%含有しており、皮膜形成と浸透性のバランスに優れています。2022年の比較研究では、一般的なアルガンオイルと比較して、クダモノトケイソウ種子油は毛髪のキューティクルへの浸透性が約20%高いことが示されています。
またホホバ種子油は化学構造的には液状ワックスに分類され、一般的な植物油と異なり酸化安定性に優れています。毛髪科学研究では、ホホバ油の分子構造がヒト皮脂に類似していることから、毛髪と相性が良いことが明らかになっています。さらにユズ果実エキスには、保湿成分であるクエン酸やビタミンCに加え、ヘスペリジンなどのフラボノイドが含まれており、キューティクルの平滑化作用があります。ここで豆知識ですが、ユズ果実エキスは日本の伝統的な入浴剤としても使われてきた歴史があり、現代の毛髪科学でもその有用性が再評価されています。
このトリートメントの最大のメリットは、使用感の良さと優れた保湿力のバランスにあります。多くのトリートメントは高い保湿力を得るために重たい使用感になりがちですが、本製品は「ポリシリコーン-13」と「ポリクオタニウム-67」という二つの保水膜成分を組み合わせることで、軽やかな使用感と十分な保湿力を両立させています。実際に保湿力の評価は4.5点と高く、使用感も満点の5点を獲得しています。
また、「湯上がり時間美容」という発想に基づいた設計も特筆すべき点です。髪が乾燥で広がる前のタイミングでケアすることで、従来より少ない成分量でも効果的に髪をコントロールできるというアプローチは理にかなっています。特にメドウフォーム-δ-ラクトンのような熱活性型成分が配合されていることで、その効果が最大化されるでしょう。
さらに、400mlで1760円という価格設定は、1mlあたり約4.4円となり、同クラスのプレミアムブランドと比較して約20%リーズナブルです。コスパ評価が3.4点と平均以上なのも納得できます。
一方、デメリットとしては、髪補修力が3.1点と平均的な水準にとどまっている点が挙げられます。これは本製品が即効性のある強力な補修よりも、持続的な保湿とスタイリングのしやすさを重視していることの表れでしょう。髪のダメージが進行している方には、より補修効果の高いトリートメントとの併用が望ましいかもしれません。
また、スカルプケア力が1.4点と低い点も注意が必要です。頭皮トラブルがある方や、頭皮からのケアを重視する方には物足りない可能性があります。本製品は明確に毛髪のコンディショニングに特化した設計であり、頭皮ケア目的には別途専用のスカルプケア製品を検討すべきでしょう。
成分面では、ベヘントリモニウムクロリドなど一般的なカチオン系界面活性剤をベースに設計されており、革新的な処方というよりは、既存の技術を最適化した製品と言えます。これは安全性を確保しつつ、確実な性能を発揮するという点では利点ですが、画期的な効果を期待する方には物足りないかもしれません。実際に成分の素材レベル評価は2.5点と平均以下となっています。
T/MEU キープモイスト トリートメントは、革新的な成分配合というよりも、「湯上がり時間美容」という新しい使用コンセプトと、既存成分の絶妙なバランスによって差別化を図った製品です。使用感の良さと保湿力の高さが際立ち、日常使いのトリートメントとして非常に優れています。
特に印象的なのは、パルミタミドプロピルトリモニウムクロリドとメドウフォーム-δ-ラクトンの組み合わせによる、すぐれた静電気防止効果と持続性です。これらの成分が、髪の乾燥が進む前の「ゴールデンタイム」にアプローチするという製品コンセプトを技術的に支えています。
言ってしまえば、このトリートメントの本質は「心地よい使用感で続けやすく、かつ十分な効果を発揮する」という、ある意味で王道を極めた製品と言えるでしょう。驚くような劇的な変化を期待するよりも、日々の使用で徐々に髪質が改善していくタイプの製品です。
髪質やライフスタイルによる使用シーン別の推奨度は以下の通りです:
最終的に、このトリートメントの真の魅力は「使いやすさ」と「続けやすさ」にあります。毎日のケアを無理なく続けられることこそが、長期的な髪の健康につながるという、シンプルだけれど本質的な価値を備えた製品と言えるでしょう。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。