方向性がボタニカルなのは理解できるが、実情は・・
肌に優しいボタニカル系トリートメント、というものを目指したのはよくわかる処方です。
ほとんどのトリートメントのベースに含まれるカチオン界面活性剤を省き、頭皮にそのまま付けても安全なレベルと言っていい仕上がりになっています。
もちろん、マイルドなことに越したことはありませんが代わりに髪のダメージ部を選択的にカバーしてくれる素材はあるのか?という問いはセットで考える必要あり。
現状はただマイルドなだけで役に立たない
カチオン界面活性剤を取り除いたベース部分は、言ってみれば油剤しかないような状態で、髪のダメージ部分のケアをするという基本的なコンディショニング効果がそっくり無い状態です。
これは、トリートメントとしてどうなの?と言われても仕方ありません。
素材が古臭い。
カチオン界面活性剤がないだけでなく、乳化剤のポリソルベート60、ステアリン酸グリセリル(SE)あたりの乳化剤はもう古臭くて残念なレベルの処方です。
ステアリン酸グリセリル(SE)にいたっては、SE=自己乳化の部分に石けんが使われている古風な乳化剤ですので、ヘアケアにとって何のメリットもないですね。
単に安全そうな乳化剤だから、と配合したようなフシが見られますが、最先端の乳化剤などと比較すると配合量も多く必要ですし、さらに石けんの悪影響は髪に迷惑でしかありません。
一見低刺激そうな処方にみえて、大量の乳化剤=界面活性剤がベースに含まれている、というのは別の意味で負荷が掛かりそうな気がしませんか?
微量の添加剤には優秀な成分もあるが・・
全成分表の後半の方になって、微量の良い成分がいくつか登場します。ジヒドロキシプロピルアルギニンHCl、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルといった面々は高い潤滑性、密着性のあるコーティング効果を付与。
やっと役に立ちそうな素材が出てきましたが、ベース部分の脆弱さを考えると慰め程度にしかならない気がしてなりません。
また、ノンカチオンと言ってますがトレハロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドはカチオン性ですし、「髪を表面的に繕うのではなく、本質を追求」したわりに髪の表面すら満足に繕えていないのは少々問題がありそうです。
ボタニカルといえばボタニカルですが、それ以前にヘアケア性能に少々難ありなトリートメントという印象です。
ダメージをカバーする能力がとても低い
古めかしい乳化剤を使用。
頭皮に塗ってもデメリットのほうが多そう。