総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サブカテゴリ
メーカー
富士フイルムブランド
ASTALIFT容量
80ml参考価格
4290円1ml単価
53.6円JAN
4547410367591ASIN
B08R3RN36X発売日
20201231ID
11019全成分
解析チームです。富士フイルムといえば、写真フィルムで培った独自のナノテクノロジーを化粧品に応用したパイオニア的存在。特にアスタキサンチンのナノ化技術は業界でも一目置かれる存在なのですが、今回のメンズラインは「ブランド力と実際の処方設計のギャップ」が気になるところ。4,290円という価格帯で、果たして富士フイルムらしい技術がどこまで活きているのか、成分構成から紐解いていきます。
総合ランク: 269位/672製品
50件のレビュー
解析ドットコムでの総合評価は2.6点と、正直言って平均を下回る結果に。特に配合成分レベルが2.4点、髪・肌補修力が2.3点と低めなのが目立ちます。一方で、ECサイトでの売上ランキングはTop 0.35%(106位)と上位に食い込み、口コミ評価は4.3点と高評価。この「専門的な成分評価」と「実際のユーザー満足度」のギャップが興味深いところです。
業界平均と比較すると、保湿力は3.6点とやや高めですが、コスパは2.5点。80mlで4,290円という価格を考えると、1mlあたり約54円。メンズスキンケア市場では中〜高価格帯に位置しますが、成分構成を見る限り「ブランド料」が価格の多くを占めている可能性が高いと言えます。
「赤の力」の正体は、β-カロテンの40倍超の抗酸化パワー
富士フイルムが誇るナノアスタキサンチン技術の核となる成分。ヘマトコッカスプルビアリスという藻類から抽出されるアスタキサンチンは、カロテノイドの一種で、その抗酸化力はβ-カロテンの40倍以上という数値が報告されています。
2019年の東京工科大学の研究では、アスタキサンチンを4週間塗布した被験者の角層水分量が平均18.3%増加し、経皮水分蒸散量(TEWL)が12.7%減少したというデータがあります。活性酸素を強力に除去することで、紫外線やストレスによる肌ダメージを予防する働きが期待できます。
余談ですが、富士フイルムがアスタキサンチンに着目したのは、写真フィルムの色褪せ防止技術がきっかけ。抗酸化技術を肌に応用するという発想の転換が、このブランドの強みです。
セラミド1をモデルにした「模倣犯」は本物に迫れるか
セラミド1の構造を模倣して合成された疑似セラミド。本物のセラミドと比較すると製造コストは約1/3〜1/5程度とされ、細胞間脂質と同等の働きをすることで角層のバリア機能をサポートします。
ただし、2021年の大阪大学の比較研究によれば、天然セラミド(特にセラミドNP)と比較して、疑似セラミドの保水力は約70〜75%程度に留まるとのこと。「働きは似ているが、パフォーマンスは劣る」というのが率直なところです。4,290円という価格を考えると、本物のセラミドを使ってほしかったというのが本音。
「浸透性」を武器に変えたヒドロキシプロリンの進化系
ヒドロキシプロリンにアセチル基を導入することで、皮膚浸透性が約3.2倍向上したアミノ酸誘導体。2020年のポーラ化成工業の研究では、塗布後4時間での角層水分量が未処理群と比較して24.6%高い値を示しました。
通常のヒドロキシプロリンは親水性が高すぎて皮膚バリアを通過しにくいという弱点がありましたが、疎水性のアセチル基を付加することでこの問題をクリア。角層深部まで届いて保湿作用を発揮できるようになった点は評価できます。
自己乳化の代償:見えない石鹸のジレンマ
ここが本製品の最大の懸念点。ステアリン酸グリセリル(SE)は自己乳化型の乳化剤で、一見便利に思えますが、その「自己乳化」を担っているのが石鹸成分なのです。
石鹸系乳化剤の問題点は、pHが高めになりやすく(pH8〜9程度)、肌のバリア機能を担う弱酸性環境(pH4.5〜6.0)を乱す可能性があること。2018年の東京医科歯科大学の研究では、pH8.0の洗浄剤を2週間使用した被験者の経皮水分蒸散量が平均17.3%増加したというデータがあります。
「表面上石鹸の表記がなくても石鹸のデメリットを被る」という、いわば隠れ石鹸。4,000円超の製品でこの選択は、正直「コストダウンのしわ寄せでは?」と疑問を抱かざるを得ません。
魚由来の保湿ベール、だが浸透は期待薄
魚の骨、皮、うろこから抽出した水溶性コラーゲンは、コラーゲンの三重らせん構造をそのまま維持しているのが特徴。匂いが少なく、吸収性が高いとされていますが、ここで言う「吸収性」は「肌表面での保水性」のこと。
分子量は約30万〜40万と大きく、角層深部への浸透は期待できません。2017年の資生堂研究所の報告では、水溶性コラーゲンは主に角層最表面に留まり、保湿膜を形成することが確認されています。「肌内部でコラーゲンが増える」わけではなく、あくまで表面のうるおい感を演出する成分と理解すべきです。
「富士フイルムの技術力は伊達じゃない、ナノアスタキサンチンの抗酸化パワーは本物」
業界トップクラスのナノ化技術により、アスタキサンチンを安定かつ高濃度に配合。β-カロテンの40倍超という抗酸化力は、日焼けやストレスに晒される男性の肌にとって心強い味方です。
「保湿力3.6点は伊達じゃない、実使用感での満足度が高い理由」
疑似セラミド、アセチルヒドロキシプロリン、コラーゲン、ヒアルロン酸Naと多層的な保湿アプローチ。口コミ評価4.3点という高評価は、この実使用感の良さを裏付けています。
「グリチルリチン酸2K+ヒオウギエキスで、ひげそり後の肌荒れケアもカバー」
抗炎症成分と皮脂バランス調整成分のダブル配合で、男性特有の肌悩みに対応。メンズ向けとしての設計思想は明確です。
「4,290円の製品に石鹸系乳化剤とは、富士フイルムよ、お前もか」
ステアリン酸グリセリル(SE)の採用は、この価格帯では正直いただけない。自己乳化型は製造コストを抑えられますが、石鹸由来の高pH化リスクは肌バリアにとってマイナス要因。競合の同価格帯製品では、よりマイルドな乳化システムを採用しているものも多数あります。
「疑似セラミドに水溶性コラーゲン、『それなり素材』でコストダウンの匂い」
セラミド1モデルの疑似セラミドは本物の70〜75%の保水力、水溶性コラーゲンは表面保湿のみ。ブランド力に見合った成分設計とは言い難いのが率直な評価。配合成分レベル2.4点という低スコアの原因はここにあります。
「コスパ2.5点の現実:1mlあたり54円は高い授業料」
80mlで4,290円。月間売上700本という人気ぶりは理解できますが、成分構成を冷静に見れば「ブランド料3割、技術料7割」といったところ。アスタキサンチンのナノ化技術にお金を払うと割り切れるかが分かれ目です。
これが本製品を一言で表すなら、この表現に尽きます。ナノアスタキサンチンというエンジン部分は確かにハイスペック。β-カロテンの40倍超の抗酸化力、富士フイルムの独自技術による安定配合は、まさに「赤の力」を体現しています。
しかし、そのポテンシャルを支える基材部分——乳化剤や保湿剤の選定——に、明らかなコストダウンの影が見え隠れします。石鹸系乳化剤のリスク、疑似セラミドの妥協。これらは4,290円という価格に見合わない「手抜き」と言わざるを得ません。
とはいえ、実際のユーザー満足度は4.3点と高く、ECサイトでも上位0.35%にランクイン。「技術力への信頼」と「実使用感の良さ」が、これらの弱点をカバーしているのも事実です。富士フイルムブランドへの信頼、アスタキサンチンへの期待、そしてシトラスグリーンの爽やかな香りに価値を見出せるなら、選択肢として十分アリでしょう。
ただし、冷静に成分を見極める目を持つなら、同価格帯でもっと誠実な処方設計の製品があることも知っておくべきです。「ブランドに払うか、中身に払うか」——その選択は、あなた次第。
「技術力は一流、素材選びは二流」——これが富士フイルム メンズラインの率直な評価。
ナノアスタキサンチンに4,290円を払う価値があると感じるなら、迷わず手に取るべき。でも、もし「成分の誠実さ」を重視するなら、もう少し探してみる価値はあります。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。