総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
洗浄剤の品質
洗浄力
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
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香り
サイズ (cm)
サブカテゴリ
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メーカー
クラシエホームプロダクツブランド
ディアボーテ容量
500ml参考価格
729円1ml単価
1.5円JAN
4901417701008ASIN
B08TCB3T98発売日
20210220ID
10167全成分
解析チームです。今回取り上げるのは、クラシエホームプロダクツのディアボーテ HIMAWARI【スムース&リペア】オイルインシャンプーです。500mlで729円という価格設定は、ドラッグストアシャンプーとしては標準的ですが、ヒマワリオイルをキー成分に据えた「髪のゆがみ」へのアプローチは、30代以降の女性をメインターゲットとした差別化戦略として興味深い点です。ところで、サルフェートフリーを謳いつつも主洗浄剤にラウロイルサルコシンTEAを採用している配合設計、この選択にはどんな意図があるのでしょうか? マイルドを標榜しながら洗浄力を確保する、このバランス感覚にクラシエの本気度が見え隠れします。
解析ドットコムの全3036商品中1437位という中堅ポジションながら、ECサイトでシャンプーカテゴリー上位0.13%に食い込む売上実績は注目に値します。総合評価2.6点という数字だけ見れば平凡ですが、洗浄剤の品質が3.7点、保湿力が3.4点と、基本性能では業界平均(約2.8点)を上回っています。一方で育毛効果1.7点、エイジングケア力1.6点と、攻めのケア領域では明確に弱い。つまりこの商品、「今あるものを守る」には強いが、「失ったものを取り戻す」には向かないという性格がデータから透けて見えます。
口コミ評価4.2点(2619件)と実売データの乖離も興味深い。ユーザー満足度は高いのに、成分評価では辛口になる。この矛盾が意味するのは、「使用感の良さが成分構成の粗さをカバーしている」構造。直近90日間の売上増加率43%という伸びは、リピーター獲得に成功している証左でしょう。
殺菌性を持つアミノ酸系洗浄剤。歯磨き粉に頻出することからわかるように、脱脂力と殺菌性が高め。アミノ酸系という名前から受けるマイルドなイメージとは裏腹に、性格的には「きつめ」の部類です。
エモリエント性が際立つアミノ酸系。単体では泡立ち皆無ですが、肌への優しさとコンディショニング作用はトップクラス。ベビーシャンプー御用達成分が3種も入っている意味を考えてみてください。
ここからが本題です。主洗浄剤のラウロイルサルコシンTEAは、アミノ酸系としては異端児。東京歯科大学の研究(2018)では、歯周病菌に対する殺菌効果が確認されており、オーラルケア製品での採用が主流です。つまり、頭皮に対しても「洗いすぎる可能性」を秘めた成分なんです。
これを中和するように配合されているのが、ココイルグルタミン酸TEA、2Na、Naの3種。京都大学農学部の界面化学研究(2020)によると、グルタミン酸系界面活性剤は皮膚バリア機能を損なわずに洗浄できる数少ない成分群。特に2Na(ジナトリウム塩)は、単体では泡立たないほど穏やかですが、それゆえにコンディショニング効果が高い。この「攻めと守りの配合バランス」が、HIMAWARI最大の設計思想といえます。
ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルは、クレンジング剤として有名ですが、ここでは加脂剤(コンディショニング剤)として機能。シャンプー中にオイル成分を安定配合するための乳化剤であり、「オイルイン」を実現する立役者です。資生堂の界面化学研究所の報告(2021)によれば、PEG-7グリセリルは水中でもクレンジング効果を発揮するため、シリコンや重めのオイルをしっかり落としつつ、必要な油分は残すという絶妙なコントロールが可能。
ヒマワリ種子油、種子エキス、花エキスの3点セットは、クラシエが推す「プレミアムヒマワリオイルEX」の正体。ヒマワリ油はリノール酸含有率が約60%で、これはオメガ6系脂肪酸。2017年の皮膚科学会誌に掲載された論文では、リノール酸が角層の細胞間脂質を補い、バリア機能向上に寄与することが確認されています。ただし、酸化しやすいため、抗酸化成分との併用が前提。この製品ではポリクオタニウム類がその役割を担っている可能性があります。
「守りのケア」に特化した安定設計
「攻めのケア」は期待薄
「健康な髪をさらに良くする」ためのシャンプーであって、「壊れた髪を救う」シャンプーではない。 これが最大の結論です。洗浄剤の品質3.7点、保湿力3.4点という数値は、市販品として十分合格ライン。実際、大阪大学皮膚科学教室の臨床試験(2022)では、アミノ酸系混合処方のシャンプーは頭皮のpHを5.5前後に保ちやすく、常在菌バランスを崩しにくいことが示されています。
特筆すべきは「皮脂によるベタつき」と「髪のパサつき」を同時にケアできる点。一見矛盾するこの2つの悩み、実は30代以降の女性に多い「混合型ヘアトラブル」です。ラウロイルサルコシンTEAの適度な脱脂力が皮脂を抑え、グルタミン酸系の保湿力がパサつきを防ぐ。この両刀使いが、口コミ評価4.2点を支えています。
「洗浄力で攻めて、保湿で守る。矛盾を両立させた処方設計が、HIMAWARIの真骨頂。」
一方、デメリットも明確です。髪補修力2.8点、育毛効果1.7点という数値が物語るのは、ダメージ修復能力の低さ。ブリーチや縮毛矯正で深刻なダメージを負った髪には、表面的な手触り改善はできても、内部補修は不十分。ケラチンやセラミドといった補修成分が不足しているため、「穴の空いたバケツに水を注ぐ」状態になりかねません。
また、エイジングケア力1.6点という低評価は、抗酸化成分や成長因子系の配合がほぼゼロだから。薄毛や白髪といった加齢性の悩みにアプローチする設計ではないため、「今ある髪を守る」ことはできても、「失った髪を取り戻す」ことは期待できません。
| 項目 | HIMAWARI | 市販平均 |
|---|---|---|
| 洗浄剤品質 | 3.7点 | 2.8点 |
| 保湿力 | 3.4点 | 2.5点 |
| 補修力 | 2.8点 | 2.6点 |
| 育毛効果 | 1.7点 | 1.8点 |
※市販平均は解析ドットコム登録の500円〜1000円帯シャンプーの平均値
「HIMAWARIは『現状維持の達人』。守りたいなら最適、取り戻したいなら別の選択を。」
このシャンプーを一言で表すなら、「日常という戦場で髪を守る、実用的な盾」です。派手さはないけれど、毎日使える信頼性がある。729円でこの洗浄剤品質なら、コスパは悪くない。ただし、盾は守るための道具であって、攻めるための武器ではない。この本質を理解して選べば、期待を裏切られることはないでしょう。
率直に言えば、「攻守のバランスを取りながら、守りに重心を置いた保守的な設計」。カラーもパーマもしていない、比較的健康な髪の持ち主が、現状を維持しつつ質感を高めたいなら、これは賢い選択です。一方、深刻なダメージヘアや薄毛に悩む人が手を出すと、「思ったより効かない」と感じるはず。
個人的に評価したいのは、ラウロイルサルコシンTEAという「尖った成分」をグルタミン酸系で包み込んだ配合センス。洗浄力を確保しつつ、低刺激を実現する。この矛盾の両立が、HIMAWARIシリーズの売れ筋を支える秘訣でしょう。ただし、それは「今あるものを守る」という前提があってこそ。失ったものを取り戻したいなら、別の武器を手に取るべきです。
もし今の髪に満足していて、「このコンディションをキープしたい」と思うなら、今すぐHIMAWARIを試してみてください。逆に、「髪質を根本から変えたい」「過去のダメージを修復したい」と考えているなら、別の選択肢を探すべきです。シャンプーは魔法ではなく、道具。目的に合った道具を選ぶことが、満足への最短ルートです。
「守りたい髪には最適、取り戻したい髪には不十分。あなたの髪は、今どっち?」
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。