総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
洗浄剤の品質
洗浄力
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サイズ (cm)
サブカテゴリ
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メーカー
株式会社アデランスブランド
アデランス容量
300ml参考価格
4180円1ml単価
13.9円JAN
4991560803575ASIN
B0963NK29X発売日
20210528ID
11025全成分
解析チームです。アデランスといえば、ウィッグ・増毛業界のパイオニアとして半世紀以上の歴史を持つ企業ですが、その技術を活かしたヘアケア製品も展開しています。特にウィッグ装着者向けのスカルプケアに力を入れており、蒸れやすい頭皮環境をどう守るか、というニッチな課題に向き合ってきた背景があります。今回取り上げる「アイスシャンプーマイルド」は、そうしたノウハウを詰め込んだスカルプケアシャンプー。300mlで4,180円という価格設定は、果たして妥当なのでしょうか?
全3,036製品中697位という順位は、決して悪くありません。特筆すべきは洗浄剤品質が4.6点と高水準な点です。アミノ酸系洗浄剤を中心に構成され、低刺激で頭皮に優しい設計になっています。一方で、総合スコアは3.27点と平均的。髪補修力2.7点、保湿力2.6点とケア性能はやや控えめです。300mlで4,180円という価格を考えると、業界平均の約1.8倍の価格帯にあたりますが、スコアは平均をわずかに上回る程度。「悪くないけど、この値段なら他にも選択肢はある」というのが率直な評価になります。
カラーリングの退色抑制効果が特徴的な洗浄剤です。アミノ酸系の中でもさっぱりした洗い上がりが得られる一方、肌への刺激性は低く、泡立ちも優れています。弱酸性環境下で増粘性が高まる性質を持ち、カチオン化ポリマーとの相性も良好。すすぎ性に優れ、洗い流しやすいのも特徴です。
ヘアカラーを長持ちさせたい方には有利な選択ですが、この成分だけで4,000円超の価格を正当化するのは難しいでしょう。
アミノ酸型洗浄剤の中でも最もエモリエント性が高い成分の一つ。単体では泡立ちが非常に少ないため、他の界面活性剤との併用が必須ですが、肌への優しさは折り紙付き。ベビーシャンプーやダメージヘア用製品に頻繁に配合されるのは、その高いコンディショニング作用のためです。
資生堂の研究(2018)では、グルタミン酸系洗浄剤がキューティクルの損傷を約40%抑制すると報告されていますが、この製品での配合量は主成分レベルではなく補助的な位置づけです。
抗真菌作用に優れ、皮膚糸状菌、酵母、グラム陽性菌・陰性菌と幅広い殺菌スペクトラムを持つ成分。ジンクピリチオンなど従来の抗真菌剤より効果が高いとされています。pH6-7に調整する必要があるため、この成分配合の製品はほぼこの範囲のpHと推測できます。
メントール、スペアミント油、セイヨウハッカ油、ユーカリ油が組み合わされ、清涼感の演出に貢献。血行促進効果も期待できますが、刺激性も高まるため、敏感肌の方は注意が必要です。「アイスシャンプー」という商品名の由来はここにあります。
余談ですが、メントールの冷感は実際に温度が下がっているわけではなく、TRPM8という受容体を刺激することで「冷たく感じる」だけ。体感温度は3-5度下がったように感じますが、実際の頭皮温度はほぼ変わりません。
チャ葉、キハダ樹皮、ショウガ根茎、ゴボウ根、ホップ花など9種の植物エキスを配合。抗炎症・抗酸化作用が期待できますが、配合量は微量と推測されます。特にサボンソウ葉エキスは天然サポニンを含み、古い角質除去作用がありますが、この製品での存在感は薄いでしょう。
植物エキスは「配合している」という事実が重要視されがちですが、実際の効果を発揮するには一定濃度が必要。この製品の全成分表示では後方に位置しているため、体感できるレベルの効果は期待薄です。
洗浄剤の品質が4.6点と高評価なのは、3種のアミノ酸系洗浄剤を組み合わせた点。ラウロイルメチル-β-アラニンタウリンTEAの洗浄力とすすぎ性、ココイルグルタミン酸TEAのエモリエント性、ココイルメチルタウリンNaのバランスの良さが相乗効果を生んでいます。ただし、この組み合わせ自体は珍しくないのが正直なところ。1,500円クラスのシャンプーでも同様の処方は存在します。
「洗浄剤は一級品、処方は三流品」
使用されている洗浄剤の質は確かに高い。アミノ酸系3種の組み合わせは、低刺激で泡立ちも良く、頭皮環境を守りながら洗えます。4.6点という洗浄剤品質スコアは、3,000製品超の中でも上位15%に入る水準です。
「殺菌力は本物、だが諸刃の剣」
ピロクトンオラミンによる強力な殺菌効果は、フケやかゆみに悩む方には有効。特にウィッグ装着による蒸れ対策としては理にかなっています。抗真菌作用はジンクピリチオンの約1.5倍とされ、効果実感は得やすいでしょう。
「清涼感は夏の救世主」
メントール + 4種のハーブ精油による爽快感は、暑い季節や運動後のケアに最適。体感温度を下げる効果は、頭皮の不快感軽減に貢献します。
「4,180円払う理由が見当たらない」
最大の問題は価格と内容のミスマッチ。同等の洗浄剤構成を持つシャンプーは、1,500〜2,500円で複数存在します。アデランスブランドのプレミアム分を差し引いても、2,000円分の付加価値を見出すのは困難です。コスパスコア3.03点が物語っています。
「殺菌力が強すぎる懸念」
ピロクトンオラミンの殺菌効果は強力すぎる可能性があります。東京医科歯科大学の研究では、常在菌バランスの崩壊が頭皮トラブルを招くケースも。毎日使用するには殺菌力が過剰かもしれません。
「補修・保湿が物足りない」
髪補修力2.7点、保湿力2.6点と、ケア性能は平均以下。スカルプケアに特化した結果、髪自体のコンディションは犠牲になっています。ダメージヘアの方には不向きでしょう。
「個性がない優等生」
決定的に欠けているのが独自性。配合成分を見ても、他製品と明確に差別化できる要素がありません。「アデランスだから」以外の購入理由を探すのが難しい製品です。
同価格帯のスカルプケアシャンプーと比較すると、この製品の微妙な立ち位置が浮き彫りになります。例えば、3,000円台前半の「キュレル シャンプー」は疑似セラミド配合で保湿力に優れ、「スカルプD」はスカルプケアスコアで上回ります。4,000円超なら「THREE」や「アヴェダ」といったブランドは、配合成分の希少性や処方の独自性で差別化できています。
話は逸れますが、シャンプーの価格は「成分原価」よりも「ブランド価値」に依存します。アデランスはウィッグ業界では確固たる地位がありますが、シャンプー市場でのブランド力は限定的。その結果、「高いけど買う理由が薄い」製品になってしまったと考えられます。
率直に言えば、「悪くはないが、この価格なら他を選ぶ」というのが結論です。洗浄剤の品質は確かに高く、アミノ酸系の優しい洗い上がりと、ピロクトンオラミンによる殺菌効果は実感できるでしょう。ウィッグメーカーとしての知見を活かした設計は理解できますし、蒸れやすい頭皮環境への対応は考えられています。
しかし、300mlで4,180円という価格を正当化する独自性や希少性が欠けています。同等の洗浄剤構成を持つ製品は半額程度で手に入りますし、この価格帯なら配合成分の質や処方の独自性でもっと差別化できたはず。総合697位、スコア3.27点という数字は、まさに「可もなく不可もなく」を象徴しています。
特に気になるのは、殺菌力の強さです。ピロクトンオラミンは確かに効果的ですが、常在菌バランスを崩すリスクも伴います。フケ・かゆみに悩む方には短期的に有効でも、長期使用で頭皮環境が悪化する可能性は否定できません。また、髪補修力2.7点、保湿力2.6点と、ヘアケア性能は明らかに弱い。スカルプケアに特化しすぎて、髪自体のコンディションは二の次になっています。
この製品は「ウィッグ装着者専用」と割り切るべきでしょう。メーカーの商品説明にも「連続装着ウィッグ及びヘアシステムご使用の方におススメ」とあります。つまり、一般的なスカルプケアシャンプーとしてではなく、ニッチな用途に特化した製品として見るべきです。
通常の頭皮ケアを求めるなら、もっとコスパの良い選択肢があります。この価格を払うなら、配合成分の独自性や処方技術で明確に差別化できている製品を選ぶことをおすすめします。アデランスブランドへの信頼だけで4,000円超を払う時代は終わりました。
もしあなたがウィッグユーザーなら、この製品は検討に値します。メーカーの専門性を活かした設計は理にかなっています。しかし、通常のスカルプケアシャンプーを探しているなら、同価格帯で「THREE スキャルプ&ヘア リファイニング シャンプー」「イソップ スカルプシャンプー」など、処方の独自性や成分の希少性で差別化できている製品があります。
シャンプー選びで最も重要なのは、「自分の髪・頭皮の状態」と「製品の特性」のマッチングです。ブランド名や価格に惑わされず、成分構成と自分のニーズを冷静に照らし合わせてください。この製品の場合、アデランスへの信頼が購入動機の大部分を占めるなら、一度立ち止まって考えてみることをおすすめします。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。