解析結果
総合点
総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
洗浄剤の品質
洗浄力
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サブカテゴリ
よく一緒に購入される商品
メーカー
サンコールブランド名
サンコール容量
1900ml参考価格
7865円1mlあたり
4.1円JANコード
4538742303906ASIN
B0C3ZSMSGB発売日
20230501KaisekiID
9108全成分
解析チームです。今回は、長年にわたり美容室向けのプロフェッショナル製品を手掛けてきた老舗、サンコールさんの商品に切り込んでいきます。サンコールといえば、美容師さんなら誰もが一度は触れたことがあるであろう、まさに業界の重鎮。その歴史と実績は、製品への信頼感に直結しますよね。そんなメーカーが「保湿」と「補修」をテーマに掲げ、5種類の海藻エキスと18種類のアミノ酸を配合したと謳う「フェルエ シーリーフ シャンプー」。しかし、我々の解析データを見てみると、どうにも不可解な点が浮かび上がってきました。果たして、老舗のプライドが詰まった一本なのか、それとも時代に取り残された遺物なのか。その価格設定の裏に隠された真実まで、成分とデータの両面から、忖度なく暴いていきたいと思います。
結論から申し上げると、このシャンプーは「洗浄剤の品質は良いものの、価格に見合うだけの総合的な価値を提供できているとは言い難い」という評価になります。当解析ドットコムにおける総合ランキングでは、3036製品中1949位。これは全製品の中で下位約35%に位置しており、お世辞にも高い評価とは言えません。総合点は5点満点中2.21点と、平均点を大きく下回っています。
特に注目すべきは、スタッツのアンバランスさです。「洗浄剤の品質」は3.7点と比較的高評価。これは、後述する優れた洗浄成分の組み合わせによるものでしょう。しかしその一方で、「配合成分のレベル」は1.3点、「髪補修力」は2.2点、「スカルプケア力」は1.8点と、製品がテーマとして掲げる「補修」や頭皮への配慮といった面で、極めて低い数値を示しています。成分数は52種類と豊富に見えますが、その一つ一つが髪や頭皮に与える恩恵は限定的である可能性がデータから見て取れます。良い土台(洗浄剤)がありながら、それを活かすための機能性成分が追いついていない、非常にもったいない構成と言えるでしょう。
このシャンプーの数少ない美点、それは洗浄成分の組み合わせです。しかし、それだけで高価格を正当化できるのでしょうか。主要な成分を紐解いていきましょう。
通称PPT系洗浄剤。これは間違いなく本製品のスター成分です。ケラチンタンパク質から作られたこの洗浄剤は、髪の主成分そのもので洗うようなもので、毛髪を補修しながら洗浄する効果が期待できます。研究によれば、ケラチン由来ペプチドは毛髪のダメージ部分に選択的に吸着し、強度を回復させることが示されています¹。非常に高価な原料であり、これを配合している点にはメーカーのこだわりを感じます。しかし、成分表示順(配合量の多い順)では中盤に位置しており、その効果を最大限に発揮できるほどの量が配合されているかは疑問が残ります。
アミノ酸系洗浄剤の中でも、洗浄力、泡立ち、低刺激性のバランスが非常に良い優等生です。さっぱりとした洗い心地と、きしみの少ない指通りを両立させます。多くの高品質シャンプーでベースとして採用実績があり、この成分を選んでいる点は評価できます。
ベビーシャンプーにも使われるほどマイルドな両性界面活性剤。他の洗浄剤の刺激を緩和し、泡立ちを豊かにする役割を担います。洗浄剤全体の質感を向上させる名脇役と言えるでしょう。
5種類の海藻エキスの一つとして配合されています。フコイダンというネバネバ成分を豊富に含み、高い保湿効果が期待できます。抗酸化作用や抗炎症作用に関する研究²もありますが、シャンプーのような洗い流す製品で、これらの効果がどれほど得られるかは未知数。あくまで保湿成分の一つと捉えるのが妥当です。他の海藻エキスも同様で、特筆すべき独自性とは言えません。
話は逸れますが、成分の数をやみくもに増やすことは、必ずしも製品の価値を高めません。むしろ、一つ一つの成分濃度が低下し、効果が曖昧になる「成分コレクター処方」に陥る危険性があります。本製品の52という成分数は、その傾向が少し見え隠れしますね。
¹ Journal of the Society of Cosmetic Chemists, 37(5), 331-349 (1986) ² Marine drugs, 9(10), 1727-1760 (2011)
さて、ここからは核心に迫ります。このシャンプー最大のデメリット、それは「価格と内容の著しいミスマッチ」です。これはあえて言うまでもないですね。値段です。このクオリティに見合った価格であるとは、現時点では思えないというのが率直なところ。
1900mlで約7900円という価格は、100mlあたり約415円。サロン専売品としては驚くほど高価ではありませんが、問題はその中身です。我々の分析では「配合成分のレベル」が1.3点、「髪補修力」が2.2点という厳しい結果が出ています。メーカーが謳う「補修」というテーマは、残念ながら成分構成やデータ上では裏付けが取れません。高価なココイル加水分解ケラチンKを配合してはいますが、それ以外の補修成分(18種のアミノ酸など)はごく一般的なもので、市場には同価格帯で、より効果的な補修成分(例えば、ヘマチンやペリセア(ジラウロイルグルタミン酸リシンNa)、リピジュア®(ポリクオタニウム-51))を高濃度で配合した製品が数多く存在します。それらと比較した際に、本製品が持つ優位性は見出し難いのが現実です。
一方で、メリットも存在します。それは「洗浄剤の品質に由来する、マイルドな洗い心地」です。洗浄剤の品質スコア3.7は伊達ではなく、アミノ酸系とPPT系を組み合わせた処方は、髪と頭皮への負担を極力抑えたいと考えるユーザーにとっては魅力的でしょう。特にカラーやパーマを繰り返したダメージ毛で、これ以上の負担をかけたくないというニーズには応えられます。保湿力も3.1点と及第点であり、洗い上がりが過度にパサつくことは少ないと予測できます。要するに、「優しく洗う」という一点においては、一定のレベルに達しているシャンプーなのです。
しかし、その一点のみを評価してこの価格を支払うべきか、と問われれば、答えは「否」です。洗浄品質が高く、かつ補修力や保湿力、その他の付加価値で本製品を上回る製品が、同価格帯、あるいはそれ以下の価格帯にひしめいているのが現在のシャンプー市場なのです。
さて、今回のサンコール「フェルエ シーリーフ シャンプー」、いかがだったでしょうか。一言でまとめるなら、「素材は良いのに調理法を間違えた、惜しい一皿」といったところでしょうか。洗浄成分の専門家が見れば「お、ココイル加水分解ケラチンKか。いいね」と唸るような、キラリと光る素材(成分)は確かにあるんです。マイルドで質の高い洗浄ベースは、このシャンプーの紛れもない長所です。
しかし、それ以外の部分がどうにも物足りない。肝心の「補修力」や「スカルプケア力」は評価が低く、価格に見合うだけのトータルパフォーマンスを発揮できているとは到底言えません。まるで、高級な和牛を使いながら、味付けは塩コショウだけ、といったような…。悪くはない、でも、もっと美味しくできるでしょ!と叫びたくなってしまう、そんなシャンプーです。あなたが抱える髪の悩みが「とにかく優しく洗いたい」だけで、コストを度外視できるのであれば、選択肢の一つにはなるかもしれません。ですが、ダメージケア、保湿、エイジングケアなど、複合的な悩みを解決したいと願う大多数の方にとっては、残念ながらベストな選択とは言えないでしょう。もっとあなたの髪と財布に寄り添ってくれる、賢い選択肢が市場には溢れています。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。