 
        総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
洗浄剤の品質
洗浄力
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サイズ (cm)
有効成分
サブカテゴリ
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メーカー
nijitoブランド
HARU(ハル)容量
400ml参考価格
3031円1ml単価
7.6円ASIN
B0B3RG11TZ発売日
20250222ID
10984全成分
石鹸ベース×アミノ酸系のハイブリッド処方を科学的に解析
解析チームです。今回取り上げるharuのスムースファイバーウォッシュは、まさに「石鹸界のハイブリッドカー」とでも言うべき興味深い処方です。一般的に石鹸というと「さっぱりするけど乾燥する」というイメージがありますが、この製品はオリーブ果実油とアミノ酸系洗浄剤を巧妙に組み合わせることで、石鹸の洗浄力を保ちながらリッチな使用感を実現しようと試みています。nijito社の技術陣が挑んだこの野心的な処方、果たして理論通りの効果を発揮できているのでしょうか?
本製品は解析ドットコムにおいて1732位/3036個(総合2.37点/5点)という中位の評価を獲得しています。特筆すべきは洗浄力3.4点、洗浄剤品質3.7点と、洗浄関連の数値が比較的高い点です。これは石鹸ベースの特性が如実に現れた結果と言えるでしょう。
興味深いのは、一般的なボディウォッシュの業界平均と比較して、洗浄力では約15%上回る一方で、保湿力は2.6点と平均的な数値に留まっている点です。これは石鹸特有のアルカリ性による影響と、それを補完しようとする保湿成分のバランスが微妙なラインで拮抗していることを示唆しています。
コストパフォーマンスは2.37点と、400mlで3031円という価格設定を考慮すると、石鹸ベースの製品としてはやや高価格帯に位置します。しかし、44種類もの成分を配合した複雑な処方を考えれば、この価格設定にも一定の合理性があると評価できます。
本製品の主役となる洗浄成分です。カリウム石鹸はpH9.5-10.5のアルカリ性を示し、これが諸刃の剣となります。日本看護研究学会の2003年研究によると、アルカリ性洗浄剤は角質層バリア機能の破綻を招く可能性が指摘されています。
しかし、余談ですが、同研究では石鹸のpH9.5-10.5の範囲では「浸透による脂肪溶解」も「浸透による角質層障害」も起こらないという興味深いデータも示されています。つまり、適切な濃度と使用法であれば、石鹸特有のリスクは最小限に抑えられる可能性があるのです。
これはラウロイルアスパラギン酸系のアミノ酸型洗浄剤で、まさに本製品の「救世主」的存在です。旭化成ケミカルズの2008年研究では、弱酸性領域で起泡力を示す界面活性剤の中で最も高い起泡力を示したと報告されています。
さらに重要なのは、皮膚刺激性試験において30%濃度でも非刺激剤と評価されている点です。石鹸のアルカリ性による刺激を、このアミノ酸系洗浄剤が巧妙に中和・緩和している可能性が高いでしょう。
オレイン酸73.8%を主成分とするこの植物油は、人間の皮脂組成に近い特徴を持ちます。化粧品成分オンラインの研究データによると、閉塞性により皮膚の水分蒸発を抑制し、柔軟性と滑らかさを付与することが確認されています。
話は逸れますが、オリーブ果実油に含まれるスクワレンは、紫外線や乾燥から肌を守る人間の皮脂成分でもあります。つまり、洗浄で失われがちな皮脂成分を、同じ成分で補完するという理にかなった処方と言えるでしょう。
この親水性乳化剤は、単なる乳化剤以上の機能を持ちます。アクネ菌に対する殺菌作用も報告されており、ニキビケアの観点からも注目すべき成分です。
石鹸の強い洗浄力で皮脂を除去しすぎると、かえって皮脂分泌が活発になりニキビの原因となることがありますが、この成分の抗菌作用がそのリスクを軽減している可能性があります。
コリアンダー果実油はd-リナロール、カンファー、α-ピネンなどの成分により抗炎症作用を、ユーカリ葉油は抗炎症・殺菌・収れん作用を発揮します。
ここで豆知識ですが、これらの植物エキスは石鹸のアルカリ性による軽微な刺激を和らげる「天然の消炎剤」として機能している可能性があります。まさに植物の力を借りた、自然派アプローチの好例と言えるでしょう。
確実な洗浄力が最大の魅力です。石鹸ベースならではの3.4点の洗浄力は、皮脂汚れや汗をしっかりと除去します。特に夏場や運動後の使用では、その効果を実感できるでしょう。
ハイブリッド処方の絶妙なバランスも見逃せません。アミノ酸系洗浄剤の配合により、石鹸単体では得られない泡質の向上と刺激緩和を実現しています。旭化成の研究データが示すように、弱酸性領域での優れた起泡性がこれを裏付けています。
植物由来成分の豊富さも特筆すべき点です。44種類の成分中、多くが植物エキスで構成されており、抗炎症・抗酸化作用による肌荒れ予防効果が期待できます。
環境への配慮も忘れてはいけません。石鹸は生分解性が高く、排水による環境負荷が比較的少ない洗浄剤です。サステナブルな選択肢としての価値もあります。
アルカリ性による潜在的リスクは避けて通れません。日本看護研究学会の研究が示すように、アルカリ性洗浄剤は角質層バリア機能に影響を与える可能性があります。特に敏感肌や乾燥肌の方には注意が必要です。
金属石鹸の生成リスクも懸念材料です。硬水地域では、カルシウムやマグネシウムイオンと反応して不溶性の金属石鹸を形成し、肌に残留する可能性があります。
コストパフォーマンスの微妙さも率直に指摘せざるを得ません。2.37点という評価は、400mlで3031円という価格を考慮すると、石鹸ベースの製品としてはやや割高感があります。
使用感の個人差も大きな課題です。石鹸特有のさっぱり感を好む方には良いですが、しっとり感を重視する方には物足りなさを感じる可能性があります。保湿力2.6点がこれを物語っています。
製剤学的観点から見ると、この製品は「石鹸の欠点をアミノ酸系洗浄剤で補完する」という明確なコンセプトを持った意欲的な処方です。しかし、根本的にアルカリ性である石鹸と弱酸性を好むアミノ酸系洗浄剤の組み合わせは、pH調整の観点から技術的に困難な課題を抱えています。この矛盾をどこまで解決できているかが、使用感の個人差に直結していると考えられます。
「石鹸界のハイブリッドカー」- 野心的だが、運転手を選ぶ一台
率直に申し上げると、このスムースファイバーウォッシュは「技術的な挑戦」としては高く評価できる製品です。石鹸の確実な洗浄力とアミノ酸系洗浄剤の優しさを両立させようとする試みは、製剤学的に見ても興味深いアプローチです。
しかし、プロとして厳しく評価するなら、根本的な矛盾を完全には解決できていないのが現実です。アルカリ性の石鹸と弱酸性を好む肌との相性問題は、どれだけ優秀な補完成分を配合しても限界があります。これが総合2.37点という中位評価に表れていると考えられます。
簡単に言うと、「しっかり洗いたいけど、肌に優しくありたい」という欲張りな願いを叶えようとした製品です。その結果、どちらも中途半端になってしまった感は否めません。ただし、石鹸の洗浄力を重視しつつ、可能な限り肌への負担を軽減したい方には、選択肢の一つとして検討する価値はあるでしょう。
 
      
      
      シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。