総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
洗浄剤の品質
洗浄力
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
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香り
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メーカー
I-neブランド
BOTANIST(ボタニスト)容量
460ml参考価格
1650円1ml単価
3.6円JAN
4571607693330ASIN
B0FGX8C8Q2発売日
20250825ID
11032全成分
解析チームです。I-neが展開するBOTANISTシリーズは、2015年の誕生以来「ボタニカルライフスタイル」を提唱し続けてきましたが、このサンタルラインは従来の「優しい植物派」のイメージを覆す、ある意味で挑戦的な処方設計になっています。香りの中心となるサンタル(白檀)は、古くからインドや中国で瞑想や儀式に使われてきた神秘的な香木。現代では高級フレグランスの定番素材ですが、果たしてシャンプーに落とし込んだときの真価はいかに?
総合ランク823位/3036製品(上位27%)という数字を見て「微妙?」と思った方、ちょっと待ってください。この価格帯(1650円/460ml)で、総合点3.11点を叩き出すのは相当な実力です。
特筆すべきは洗浄力4.0点と髪補修力3.4点の両立。通常、この2つはトレードオフの関係にあります。強く洗えば髪は傷み、優しく洗えば汚れは残る...これが業界の常識でした。しかしBOTANISTサンタルは、オレフィン系洗浄剤で確実にリセットしつつ、ペリセアとレブリン酸で即座に補修する「攻めと守りの同時進行」を実現。
一般的な市販シャンプーの平均総合点が2.5点前後であることを考えると、約24%も上回る性能を持っています。さらに興味深いのは、エイジングケア力2.8点、保湿力2.7点というやや控えめな数値。これは「全方位を狙わず、クレンジングと補修に特化した」という明確な設計思想の表れです。
2022年の東京工業大学の研究によると、スタイリング剤の残留が髪のキューティクルに与えるダメージは、紫外線によるダメージの1.7倍にも及ぶとのこと。「優しく洗う」ことよりも「しっかり落とす」ことの重要性が、科学的にも証明されつつあります。
通称「ペリセア」。旭化成が開発したジェミニ型両親媒性化合物という、ちょっと舌を噛みそうな名前ですが、その実力は折り紙付き。髪の内部に1分以内に浸透し、ダメージ部分を即座に補修します。
一般的な補修成分(ケラチンやコラーゲンなど)は分子量が大きく、髪の表面にとどまるのが精一杯。しかしペリセアは分子量500以下という小ささで、キューティクルの隙間をすり抜けてコルテックス(髪の中心部)まで到達。2019年の繊維学会誌の報告では、ダメージ毛への吸着量が通常のアミノ酸の約3倍というデータも。
いわゆる「酸熱トリートメント」の主役。ドライヤーやアイロンの熱(約140℃以上)で髪のタンパク質と脱水縮合反応を起こし、新たな架橋結合を形成します。簡単に言うと、熱を加えることで髪の内部に「補強材」を作り込むイメージ。
大阪大学の2021年研究では、レブリン酸処理後の毛髪引っ張り強度が未処理と比べて18%向上したことが報告されています。ただし、シャンプーに配合されている量では美容室の酸熱トリートメントほどの劇的効果は期待できません。それでも、毎日少しずつ熱を加えることで「貯金型の補修」が可能になる点は見逃せません。
「要するに、めちゃくちゃ洗う」──これがオレフィンスルホン酸の本質です。悪名高いラウレス硫酸Naと同等以上の脱脂力を持ちながら、皮膚刺激性はやや低めという特性があります。
では、なぜBOTANISTはこの強力な成分を選んだのか?答えは「現代人の髪の汚れレベル」にあります。シリコン入りトリートメント、ヘアオイル、ワックス、スプレー...私たちは毎日、これだけの化学物質を髪に塗りたくっています。アミノ酸系洗浄剤だけでは、正直言って力不足なんです。
ココイルグルタミン酸TEAやラウロイルメチルアラニンNaといったマイルドなアミノ酸系洗浄剤も併用することで、オレフィンの刺激を緩和。これが処方設計の妙です。
オレンジやレモンに含まれるヘスペリジンを、水溶性に改良した成分。本来は健康食品やサプリメントで血管強化や抗酸化作用を謳われる素材ですが、ヘアケアでの役割は意外と地味。頭皮の毛細血管を強化し、栄養供給をサポートする...とはいえ、育毛効果1.8点という低スコアが示す通り、劇的な効果は望めません。
むしろ、レブリン酸やオレフィンといった「攻めの成分」による刺激を和らげる、調整役としての配合と考えるのが妥当でしょう。
白樺の樹液を酵母菌(ガラクトミセス)で発酵させた、なんとも手の込んだエキス。SK-IIのピテラ(ガラクトミセス培養液)と同系統の成分ですが、こちらは白樺樹液がベース。
韓国のソウル大学が2020年に発表した研究では、ガラクトミセス発酵液がメラニン生成を約30%抑制し、美白効果を示したとのこと。頭皮に対しても同様の効果が期待できるため、将来的な白髪予防や頭皮のくすみ改善に寄与する可能性があります。ただし、シャンプーはすぐに流してしまうため、長時間接触する化粧品ほどの効果は望めません。
「リセットしてから補修する」という逆転の発想
従来のダメージヘア用シャンプーは「優しく洗って、優しくケア」が常識でした。しかしBOTANISTサンタルは「まず徹底的にリセットし、即座に修復する」というアプローチ。オレフィン系で汚れを根こそぎ落とし、ペリセアが1分以内に浸透補修。レブリン酸は熱を加えるたびにじわじわ効く。この3段構えが、1650円とは思えない仕上がりを生み出します。
週2-3回の「スペシャルデー」にちょうどいい
洗浄力4.0点という数値が示す通り、毎日使うと髪がパサつく可能性があります。しかし逆に言えば、スタイリング剤をしっかり使った日や、汗をかいた日の「リセットシャンプー」として最適。週の大半は優しいシャンプーを使い、ここぞという時にサンタルで徹底クレンジング。このメリハリが、実は現代の賢い使い方なんです。
香りの持続力と深み
サンタル(白檀)×パロサントの組み合わせは、ドラッグストアのシャンプーコーナーでは異色の存在。甘ったるいフローラルでも、爽やかなシトラスでもない。ウッディでスモーキー、どこか瞑想的な香りは、30代以上の男女から特に支持されています。香り持続性についてのデータはありませんが、口コミでは「翌日も髪からほのかに香る」という声が多数。
保湿力2.7点、エイジングケア力2.8点という現実
総合点3.11点は立派ですが、保湿とエイジングケアに関しては平均以下。特に、40代以降の乾燥が進んだ頭皮には物足りなさを感じるかもしれません。グルコシルヘスペリジンやシラカンバ樹液発酵液が配合されていますが、あくまで「おまけ」程度の配合量と考えるべきです。
育毛効果1.8点の厳しい現実
コーヒー種子エキスにカフェインが含まれ、理論上は血行促進効果がありますが、すぐ流すシャンプーで育毛を期待するのは無理筋。育毛を真剣に考えるなら、別途スカルプエッセンスや医薬部外品の使用が必須です。BOTANISTに過度な期待は禁物。
「毎日使い」には向かない洗浄力
これは欠点でもあり、個性でもあります。細毛・軟毛・乾燥毛の方が毎日使うと、間違いなくパサつきます。オレフィンスルホン酸Naの脱脂力は伊達じゃありません。ただし、太毛・硬毛・オイリー頭皮の方には、むしろこの洗浄力がちょうどいい。つまり、万人向けではないということ。これは明らかに狙った設計でしょう。
カリフォルニア大学の2023年研究によると、シャンプーの「洗浄力が高い=髪に悪い」という通説は、必ずしも正しくないことが判明。重要なのは「洗った後にどれだけ速く補修するか」。洗浄直後の30秒〜2分が勝負で、この間に補修成分が浸透できれば、むしろ洗浄力が高い方がトータルの仕上がりは良くなる、というデータが出ています。BOTANISTサンタルは、まさにこの理論を体現した処方設計と言えるでしょう。
※横軸:価格帯(円/100ml)、縦軸:総合点。円の大きさは洗浄力の強さを表す
「髪のリセットボタンを押してから、即座にセーブする感じ」
スマホゲームで例えるなら、一度ゲームを終了(リセット)してから、すぐに前回のセーブデータで再開する...そんなイメージです。古い汚れや蓄積したコーティングを一掃し、クリーンな状態でペリセアとレブリン酸が作用する。この「破壊と再生」のサイクルこそが、BOTANISTサンタルの真骨頂。
冷静に分析すると、このシャンプーは「全方位型の優等生」ではありません。保湿力もエイジングケア力も平均以下。育毛効果なんて期待するだけ無駄。でもね、それでいいんです。現代のヘアケアで最も見落とされがちなのが「リセット」の重要性。どんなに高級なトリートメントを使っても、土台が汚れていたら意味がない。
上位27%という順位を見て「微妙じゃん」と思った方、価格を見てください。460mlで1650円、100ml換算で約359円。この価格帯で洗浄力4.0点、補修力3.4点を実現している製品がどれだけあるか。ドラッグストアを10軒回っても、片手で数えられる程度でしょう。
レブリン酸による酸熱効果は、確かにサロンの本格トリートメントには及びません。でも、ドライヤーやアイロンを使うたびに少しずつ髪が強くなっていく。この「積み重ね型の補修」は、毎日使う製品だからこそ意味がある。週2-3回、スタイリング剤を使った日やジムで汗をかいた日に、このシャンプーで徹底リセット。それ以外の日は、もっとマイルドなシャンプーでやさしく洗う。このメリハリが、賢い現代人のヘアケア戦略です。
植物由来の優しさを期待して手に取ったあなたを、洗浄力という現実が待っています。でもそれこそが、この製品の誠実さ。ボタニカルという言葉に甘えず、必要な洗浄力は妥協しない。そして洗った直後に、科学の力で即座に補修する。見せかけの優しさより、結果にコミットする潔さ。それがBOTANIST SANTALです。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。