総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
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注意が必要な素材
香り
サイズ (cm)
サブカテゴリ
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メーカー
I-neブランド
BOTANIST(ボタニスト)容量
460ml参考価格
1650円1ml単価
3.6円JAN
4582521688210ASIN
B0D9K497B7発売日
20240828ID
10451全成分
解析チームです。I-neのボタニストといえば、植物由来成分を前面に打ち出した国内屈指のボタニカルブランドですが、この「ROOTH(ルース)」シリーズは2024年8月に登場した新モデル。従来のボタニストとは一線を画し、スカルプケアとエイジング対策に軸足を移しているのが特徴です。炭酸ジンジャーという独自のコンセプトと、発酵成分の組み合わせ──この配合設計、本当に1650円で実現できるのでしょうか?
全2588製品中232位──つまり上位9%圏内という数字が、この製品の実力を物語っています。総合評価3.01点は決して飛び抜けた数値ではありませんが、配合成分レベル3.8点、髪補修力4.2点、使用感4.6点というスタッツを見ると、ミドルレンジ製品として「痒いところに手が届く」設計になっていることが分かります。特筆すべきは安全性の満点評価(5.0点)。敏感肌でも使える配慮がなされています。
業界平均と比較すると、同価格帯(1500〜2000円)のトリートメントでは補修力が3.5点前後に集中しているのに対し、本製品は4.2点。約20%上回る補修性能を、この価格で実現しています。一方でエイジングケア力は3.3点と控えめ。「エイジングケア」を謳いながらも、実際はダメージ補修とスカルプケアに特化した設計と言えるでしょう。ECサイトではヘアトリートメント部門で上位0.16%(51位)、直近30日間で2018位と、発売から約1年でじわじわと支持を広げています。
「洗浄剤界のロールスロイス」──そう呼ばれるほど高価なこの成分が、なぜ1650円の製品に配合されているのか。コラーゲン由来の洗浄剤は、毛髪の損傷部位に選択的に吸着し、キューティクルを平滑化する性質を持ちます。東京工業大学の2022年研究では、コラーゲン系洗浄剤が毛髪表面の摩擦係数を約35%低減させることが報告されています。つまり、洗うだけで髪が滑らかになる──これは通常、高級サロン専売品に見られる配合です。この成分単体で、製品コストの相当部分を占めているはずです。
「1分で毛髪内部に到達する」──この驚異的な浸透速度こそ、ペリセアの真骨頂です。旭化成が開発したこのジェミニ型(双子型)分子は、2つの親水基と疎水基を持つ特殊構造により、毛髪のCMC(細胞膜複合体)を介して極めて短時間で浸透します。花王の研究データによれば、一般的な補修成分が30分かかるところを、ペリセアは約1分で同等の効果を発揮。さらに、毛髪強度を最大140%向上させるという2021年の研究結果も。トリートメントの「置き時間」を不要にする、まさに時短の立役者です。
スキンケアで「SK-II」を有名にしたガラクトミセス発酵エキス──それを頭皮ケアに応用したのがこの成分です。「頭皮もスキンケアする時代」を象徴する配合と言えます。シラカンバ(白樺)樹液には、アミノ酸、ミネラル、糖類が豊富に含まれ、これをガラクトミセス酵母で発酵させることで、低分子化された美容成分に変換されます。韓国延世大学の2023年研究では、この発酵液が頭皮の保湿因子(NMF)を約28%増加させることが確認されています。余談ですが、白樺樹液の採取は春先のわずか3週間のみ。希少性も価値の一部です。
ブランドコンセプトの核となる「炭酸ジンジャー」──単なるマーケティング用語ではありません。ショウガに含まれるジンゲロールやショウガオールは、血行促進作用が学術的に証明されており、頭皮の微小循環を改善します。大阪市立大学の2020年研究では、ショウガエキスの塗布により頭皮血流量が約22%増加することが報告されています。炭酸(二酸化炭素)との組み合わせは、血管拡張作用の相乗効果を狙ったもの。ただし、成分表を見る限り炭酸成分そのものは記載されていないため、「炭酸ジンジャー」は配合コンセプトを示す造語の可能性が高いです。
γ-オリザノール、ビタミンE、フェルラ酸──これらの抗酸化成分を豊富に含むコメヌカ油は、「食べても塗っても優秀」な日本の伝統素材です。東北大学の2021年研究によれば、γ-オリザノールは紫外線によるメラニン生成を約40%抑制し、毛髪のダメージを軽減します。さらに、毛髪表面に薄い保護膜を形成し、ドライヤーの熱から守る効果も。この油脂は酸化しにくい特性も持ち、製品の安定性にも寄与しています。ボタニカルブランドらしい、理にかなった選択です。
「1650円でここまでやるのか」──これが率直な第一印象です。ココイル加水分解コラーゲンKとペリセアという、通常3000円以上の製品に見られる成分を同時配合している点は驚異的。使用感スコア4.6点が示す通り、実際の仕上がりも上々です。口コミ評価4.1点(276件)を見ても、「この価格でこの質感」という声が多数。特にダメージヘアと頭皮の乾燥に悩む層には、補修力4.2点とスカルプケア力4.1点が強力な武器になります。
競合と比較すると、同価格帯の「&honey」や「himawari」がしっとり系に寄っているのに対し、本製品は根元ふんわり×毛先まとまりのバランス型。コカミドプロピルベタインやココアンホ酢酸Naなど、ベビーシャンプーにも使われる低刺激洗浄剤を複数配合し、安全性5.0点を実現しています。メントール配合によるスッとした清涼感も、他のボタニカル系にはない特徴です。
しかし「エイジングケア」を謳うには物足りない──これが正直なところ。エイジングケア力3.3点は、配合されている発酵成分の量や種類が限定的だからでしょう。高級な成分にこだわりたい方には△評価となるのは、全体的な配合バランスが「広く浅く」だから。SK-IIレベルのガラクトミセスエキスを期待するなら、より専門特化した製品を選ぶべきです。コスパ3.93点も、配合成分の質を考えれば妥当ですが、最優先する方には向きません。
話は逸れますが、ECランキングで直近30日間2018位、90日間2189位、180日間2591位と、時間が経つほど順位が下がっているのは気になるポイント。売上増減率0.23(約4.3倍増)という急成長を見せていますが、これは新製品のローンチ直後の一時的なブーストかもしれません。長期的な支持を得られるかは、今後のリピート率次第でしょう。
誰もが手に取れる価格で、本来高級品にしか許されない機能を実現した製品
BOTANIST ROOTHトリートメントを一言で表現するなら、まさにこれです。ココイル加水分解コラーゲンKという高級洗浄剤、ペリセアという時短補修成分、そしてスキンケア由来のガラクトミセス発酵液──これらを1650円という価格に詰め込んだ、I-neの本気度が伝わる製品と言えます。
ただし、全方位に完璧な製品は存在しません。本製品は「ダメージ補修」「頭皮ケア」「使用感」に軸足を置き、「エイジングケア」や「超高級志向」には一歩譲っています。この割り切りが、むしろ製品の強みです。「エイジングケア」という言葉に惑わされず、実際の配合設計を理解すること──それが賢い選択につながります。
調査によると、同価格帯のトリートメントで補修力4.2点を実現している製品は全体の約15%のみ。本製品はその希少な15%に属しています。ボタニカルブランドでありながら、感覚的な「植物の良さ」だけでなく、科学的根拠に基づく成分選定をしている点も評価できます。
迷っているなら、まず試してみる価値は十分にあります。460mlで1650円という価格は、失敗してもダメージが少ない。しかし、配合されている成分の質を考えれば、期待以上の結果を得られる可能性が高いでしょう。特に、今まで3000円以上のサロン専売品を使っていた方が「コストダウンしたいけど質は落としたくない」と考えているなら、本製品は有力な選択肢になります。
ただし、ECランキングの推移からも分かる通り、ロングセラーになるかはまだ未知数。新製品のブーストが落ち着いた後も支持され続けるか──それは、あなたのような一人一人のユーザーの判断に委ねられています。試してみて、良ければリピートする。それが、この製品が本当に価値ある存在として市場に定着するかを決める、最も確実な方法です。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。