画像準備中総合点

総合ランク
成分数
植物エキスの数
コスパ
安全性
素材の品質
洗浄剤の品質
洗浄力
髪補修力
育毛力
使用感の良さ
エイジングケア
ホワイトニング効果
保湿効果
スキンケア力
環境配慮
浸透力
即効性
持続性
ツヤ感
サラサラ感
特に優れた素材
注意が必要な素材
香り
サイズ (cm)
サブカテゴリ
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メーカー
I-neブランド
DROAS(ドロアス)容量
400ml参考価格
1100円1ml単価
2.8円JAN
4582521685097ASIN
B0BV6XZ3R5発売日
20230228ID
8964全成分
解析チームです。シャンプー市場において、巧みなマーケティングとトレンドを的確に捉えた商品開発で知られるI-ne社。その代表格である「BOTANIST」で一時代を築いた彼らが次に送り出した刺客が、この「DROAS」ブランドです。クレイ(泥)の吸着力に着目し、「地肌スパ」というコンセプトを掲げて市場に登場しましたが、今回のリニューアルでは「ダメージリペア」という新たな使命を背負ってきました。しかし、その成分構成を見ると、強力な洗浄成分を主軸に据えているという、ある種の矛盾をはらんでいます。果たしてI-ne社は、この「洗浄力」と「ダメージケア」という、いわば水と油のようなテーマを、一本のボトルの中でどのように融合させたのでしょうか?その製剤設計の思想と、消費者が享受できる真の価値について、我々は深く切り込んでいく必要があると感じています。
さて、まずはこのシャンプーの立ち位置を客観的なデータで見ていきましょう。当サイトの解析データベースでは、3036製品中1248位、総合評価は5点満点中2.73点という結果です。これは市場全体で見れば、ちょうど中間よりやや下あたりに位置します。しかし、この総合点だけを見て「凡庸な製品」と判断するのは早計です。注目すべきは、各評価項目のスコアが非常に尖っている点にあります。
特筆すべきは、「使用感:5.1点」「洗浄力:5.3点」「保湿力:4.7点」という驚異的なハイスコアです。特に洗浄力5.3点というのは、全シャンプーの中でもトップ5%に入るほどのパワフルさを示しています。その一方で、「洗浄剤の品質:1.2点」という極端に低いスコアが顔を覗かせます。この極端なスコアの振れ幅こそが、このシャンプーの個性を最もよく表しています。つまり、非常に強力な洗浄剤をベースに据えながら、それを感じさせないほどの優れた使用感と、豊富な保湿・補修成分で後処理を徹底するという、非常に意図的な製剤設計が見て取れるのです。成分数が49種と多いのも、この「後処理」に力を入れている証拠と言えるでしょう。凡庸どころか、極めてトリッキーで挑戦的な一本、それがこのシャンプーの正体です。
このシャンプーの個性を形作っているキーマンたちを紹介しましょう。まさに異色のタッグチームです。
まず主役であり、良くも悪くもこのシャンプーの性格を決定づけている成分です。これは高級アルコール系に分類される洗浄剤で、ラウレス硫酸Naに匹敵する、あるいはそれ以上の極めて高い洗浄力と脱脂力を持ちます。泡立ちが非常に良く、洗い上がりのサッパリ感は格別ですが、その分、髪や頭皮の潤いを奪いやすいという側面も持ち合わせています。この成分が洗浄剤の品質スコアを大きく下げている元凶であり、このシャンプーが「強く洗いたい人向け」である理由そのものです。
オレフィンスルホン酸Naという“暴れ馬”をなだめる役割を担うのが、これらのアミノ酸系洗浄剤です。ココイルグルタミン酸TEAは、洗浄剤の中でも特にマイルドでコンディショニング効果が高く、しっとりとした洗い上がりが特徴。一方、ラウロイルメチルアラニンNaは、適度な洗浄力とさっぱり感を両立させたバランス型です。これらを組み合わせることで、強力な洗浄力を維持しつつも、過度な脱脂によるキシみや刺激感を緩和し、最低限の指通りを確保しようという製剤側の涙ぐましい努力が垣間見えます。
ここで登場するのが、ダメージケアの真打ちです。これはカニやエビの甲殻から得られるキトサンをカチオン化(プラスの電荷を持たせること)した成分。髪のダメージ部分はマイナスに帯電しているため、この成分が磁石のように選択的に吸着し、擬似的なキューティクルとして機能します。ある研究では、キトサン誘導体が毛髪の引張強度を約15%向上させたという報告もあり、洗浄で受けたダメージを即座に補修する役割を担っています。人工皮膚の素材としても利用されるほど生体親和性が高く、ナチュラルで滑らかな質感を与えてくれる、非常に優秀な補修成分です。
羊毛由来のコンディショニング成分で、健康な髪のキューティクル表面に存在する脂質「18-MEA」を補給する働きがあります。18-MEAは髪のツヤや疎水性(水を弾く性質)を司る重要な成分ですが、カラーやパーマで容易に失われます。クオタニウム-33は、この失われた18-MEAを補い、キューティクルのめくれ上がりを接着剤のように抑え、髪のバリア機能をサポートします。洗浄力の高いシャンプーにおいて、こうした脂質を補う成分の配合は極めて重要です。
DROASのブランドコンセプトを象徴する成分ですね。一般的に「ガスール」とも呼ばれるこのクレイは、微細な多孔質構造を持ち、その優れた吸着力で毛穴の奥の皮脂汚れや古い角質を絡め取ります。洗浄剤による化学的な洗浄とは異なる、物理的なアプローチで頭皮環境を整えるのが特徴です。これにより、洗浄剤だけでは落としきれない汚れにもアプローチし、よりディープなクレンジング感をもたらします。
このシャンプーは、まさに「諸刃の剣」と呼ぶにふさわしい製品です。メリットとデメリットがはっきりと表裏一体となっており、使う人を極端に選びます。
最大のメリットは、何と言ってもその圧倒的な洗浄力と、それに伴う爽快感です。オレフィン(C14-16)スルホン酸Naとクレイのタッグが生み出す洗浄パワーは、スタイリング剤を多用する方や、頭皮のベタつきに悩む脂性肌の方にとっては、まさに救世主となり得るでしょう。多くのダメージケアシャンプーがマイルドな洗浄力で物足りなさを感じさせてしまう中、この製品は「しっかり落として、しっかり補う」という、ある意味で非常に明快なソリューションを提示しています。洗浄後に待っているのは、豊富な保湿・補修成分による驚くほど滑らかな指通り。この「洗浄力と仕上がりのギャップ」こそが、この商品の最大の魅力であり、熱狂的なファンを生む要因です。
一方で、デメリットは、その洗浄力の高さそのものです。乾燥肌や敏感肌の方が日常的に使用した場合、必要な皮脂まで奪いすぎてしまい、かえって頭皮環境を悪化させるリスクをはらんでいます。オレフィン(C14-16)スルホン酸Naは、タンパク質変性作用が比較的強いことも知られており、長期的な使用が髪の健康に与える影響については、慎重に考える必要があります。アミノ酸系洗浄剤やキトサンなどで刺激緩和策は講じられていますが、ベースの強力さは覆せません。競合の、例えばアミノ酸系洗浄剤を主体とした低刺激・高保湿を謳う製品(例:アミノメイソンなど)とは、目指す方向性が180度異なります。あちらが「守りのケア」なら、DROASは「攻めのケア」。自分の頭皮と髪質を理解した上で、戦略的に使うべき製品と言えるでしょう。
この「DROAS リニューアル ダメージリペア シャンプー」をまとめると、「パワフルな洗浄力という暴れ馬を、大量の補修・保湿成分という手綱で必死に乗りこなそうとする、スリリングな一本」と言えるでしょう。洗浄剤の品質だけを見れば厳しい評価にならざるを得ませんが、その欠点を補って余りあるほどの後処理成分を投入することで、結果的に高い使用感と満足度を実現するという、非常にアクロバティックな処方設計です。
「ダメージケア」を名乗ってはいますが、毎日使えるような優しいシャンプーを探している方には、正直なところお勧めできません。しかし、「普段はマイルドなシャンプーを使っているけれど、週に一度は頭皮も髪もリセットしたい」「ヘアワックスやオイルをしっかり使った日の夜に、一発で洗い流したい」「ダメージは気になるけど、洗い上がりが重いのは絶対に嫌だ」…そんな、特定のニーズを持つあなたにとっては、これ以上ないほど頼もしい相棒になる可能性を秘めています。このシャンプーは、あなたのバスルームのレギュラーメンバーではなく、困った時に頼りになる「スペシャルゲスト」として迎えてあげるのが、最も賢い付き合い方かもしれませんね。
シャンプー解析ドットコム・カイセキストアなどを運営。